さんべ縄文の森ミュージアム(三瓶小豆原埋没林公園)

島根県大田市にある三瓶小豆原埋没林公園

ニュースレター

2016年5月号

大江高山とギフチョウ

 大田市の南西部に位置する大江高山は、標高808mの本峰と799mの西峰からなり、ギフチョウやイズモコバイモなど貴重な動植物が残る山です。

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南西から見た大江高山 

 

今回はこの山のギフチョウを紹介しましょう。

 ギフチョウは羽を広げた長さが6㎝位の小さなアゲハチョウの仲間で、年1回、桜の開花する頃発生し、スプリングエフェメラル(春の妖精)と呼ばれて人気があります。  ギフチョウの観察には4月上旬の晴天の日に、山田コースの登山道を歩くことをお勧めします。山田コースを県道46号山田バス停から、1.3㎞ほど入ると登山標識があり、左の斜面を登りきったところから登山道に入ります。

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スミレで休むギフチョウ

 

 植林帯を抜け、ジグザグの登山道を歩くと斜面のスミレなどで吸蜜している可憐なギフチョウを見かけられるでしょう。稜線に出て、風景が開けると最盛期には多くのギフチョウが飛んでいます。山田側ピーク(西峰)手前の平坦なところでは、休んでいると次々と飛んできて笹に止まって羽を広げてくれます。

 山田側ピークから本峯へは30分程度ですが、本峯より西峰側の方が観察は容易で数も多く見られます。時間は午前10時頃が飛翔もゆるやかで、よく訪花しますが、午後になると高く遠く飛ぶので撮影などは出来なくなります。  近年、ギフチョウの生息地は減少傾向にあり、幼虫の食草であるカンアオイ(ウマノスズクサ科)がなくなった場所からはギフチョウはいなくなってしまいます。ギフチョウの保護には、里山の管理が大切な要素です。  大田市では、条例でこの蝶を保護しています。大江高山は全国でも有数の生息地ですが、三瓶山と共にいつまでもギフチョウが見られる山であってほしいものです。

 

埋没林公園花便り~春を彩るすみれたち~

 4月半ば、春の盛りを迎えた埋没林公園の園地では、たくさんの春の花に出会うことができました。その中から「ヒメスミレ」と「アリアケスミレ」を紹介します。

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可愛らしいヒメスミレ

 

 「ヒメスミレ」漢字で書くと「姫菫」、他の菫に比べて全体に小ぶりです。小さくて愛らしいので「姫」でしょうか。日当たりの良い人家の近くでよくみられ、アスファルトの割れ目などにも生えています。園地内の展示棟周辺でもたくさん見る事ができました。

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薄紫色のアリアケスミレ

 

 「アリアケスミレ」は「有明菫」です。有明とは夜明け、特に月が空に残っている夜明けのことです。アリアケスミレの花の色は白色から薄紫色まで変化に富むことから、時々刻々と色を変える明け方の空になぞらえたそうです。ヒメスミレ同様、展示棟のそばで見る事が出来ました。  園内では他にも、数種類のスミレがみられます。また、多根地区には、ユキワリイチゲやイチリンソウなど様々な山野草が自生しています。埋没林公園にお越しの際にお声がけいただければ、近くで見ることができる花を紹介いたします。