さんべ縄文の森ミュージアム(三瓶小豆原埋没林公園)

島根県大田市にある三瓶小豆原埋没林公園

ニュースレター

2009年12月号

 三瓶小豆原埋没林が形成されたのは紀元前2000年頃、つまり約4000年前です。ところが、これまでは「3500年前」という数字を使ってきました。どうして数字が異なるのでしょう。それには理由があります。

 三瓶小豆原埋没林の年代は、放射性元素である「炭素14」を用いた測定により、3500~3700年前という結果が得られています。

 「じゃあ、3500年前でいいんじゃない?」ということになりそうですが、そう簡単にはいかないのです。炭素14の測定から得られる値は、時代によっては実際の年代と大きなずれがあることが判っています。この年代測定法では、木や骨に含まれている炭素14の量が大気中の量と比べてどれだけ減っているかいう割合から年代を推定します。大気中の炭素14が今も昔も同じなら良いのですが、実際には時代によって変化しており、そのために値のずれが生じるのです。

 ずれを補正するためには、年代が判っている試料の測定から得られた値と比較します。炭素14の測定値が3700年前の場合、実際の年代は約4000年前になるのです。 平成10年に三瓶小豆原埋没林が発見された時、すぐに年代測定が行われ、「3500年前」の値が得られました。この数字は発見の報道によって広く流れ、また、当時は炭素14の測定値をそのまま使うことがまだ多かったことから、それ以降もそのまま使うことにしたのです。

 最近は暦の年代に補正した数字が使われることが多くなってきました。そこで、埋没林の年代も「4000年前」を使うようにしています。

 近い将来、年輪を使った年代測定によって埋没林の形成年が正確に判明する可能性があります。この方法で得られるのは暦の年代で、1年単位で特定ができます。その時には、埋没林をめぐる年代のややこしさはすっかり解消されることでしょう。

大田のあがなもん こがなもん「霧の海」

霧の海

 白い霧が谷を埋め尽くし、山の頂が島となってぽかりと浮かぶ。冬晴れの朝、三瓶山の南麓を見下ろすと幻想的な「霧の海」が眼下に広がる光景を見ることができます。

 霧がよく発生するのは江の川流域の谷。水量豊かな川の水面から立ち上った水蒸気が霧の源です。夜、気温が下がると冷たい空気は谷底へゆっくりと下りて行きます。冷たい空気が水蒸気と出会い、霧が発生するのです。

 霧の海を展望できるのは、周回道路沿いの志学駐車場や本号で紹介している志学のきっ川食堂のテラスなど。時間は夜明けからおおむね10時頃まで。その日の気象条件によって消える時間は異なります。条件によっては、朝日に照らされて金色に輝く霧がみられることもありますよ。

三瓶の美味しいお店「霧の海食堂 きっ川」

きっ川

 名前の通り壮大な雲海が見られる場所に建つ、懐かしい雰囲気の食堂。昭和32年の開店以来、長年愛されて続けているお店です。

 『キラリと輝く推奨店』長年地域経済を支え、愛され続ける店として大田市から表彰されました。年中無休、完璧な健康管理で、病気でお店を休んだことはないという店主の吉川さんからは三瓶山周辺の興味深いお話を聞かせていただきました。地元に対する愛着を感じます。
そんな吉川さんのお勧めメニューは「三瓶そば(550円)」と「ジンギスカン(1100円)」晴れた日はお店の外で、雄大な景色を眺めながら味わうこともできます。

 メニューは他に、丼物、麺類、とんかつ、焼き飯など500円から。スタッフのお気に入りはこだわりの生麺を使ったラーメン(500円)具は鶏肉、派手さはありませんが、何度でも食べたくなる美味しさです。

・営業時間 9:00~23:00

・定休日 なし(年中無休)

・収容人数 1階・40名(2階に団体用広間あり)

・駐車場   30台

・住所    大田市三瓶町志学ロ934-1-1  

・TEL    0854-83-2130

広葉樹2本切断へ

 展示棟内に立つ埋没樹のうち、トチノキとムクロジについて倒壊の危険性があることから、切断されることになりました。この2本は、縦に伸びる割れが芯の近くまで達し、地震などの衝撃に耐えられないとみられます。

 広葉樹の出土木は乾燥によって割れが入りやすい性質があります。当初の計画は、薬液(ポリエチレングリコール溶液)を点滴方式で幹に浸透させて割れを防ぐ予定でしたが、展示棟内の条件が適してなかったことから保存のための処理を中断せざるを得ませんでした。切断は残念ですが、安全が確保できる範囲内で、できる限り幹の本体を残し、森のイメージが失われないよう工夫したいと思います。