さんべ縄文の森ミュージアム(三瓶小豆原埋没林公園)

島根県大田市にある三瓶小豆原埋没林公園

ニュースレター

2011年10月号

<p style="font-size:160%; color:#0000cc;">大田の あがなもん 国造り神話と「静之窟」</p>

<img src="images/2011_10_01.jpg" alt="静之窟">

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大田市静間町。海岸に面して奥行き45メートル、横幅30メートル、高さ15メートルの広さの洞窟があります。
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「静之窟」と呼ばれるこの洞窟は出雲神話と深い関わりがあります。
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出雲国風土記に記されている「国造り神話」。小さく狭かった出雲の国を大きくするために国造りの神、八束水臣津命(大国主命と同一とされる)が海の彼方の余った国を引き寄せつなぎ合わせた、という神話です。
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大山と三瓶山を杭にして綱を架け、「国来、国来(くにこ、くにこ)」と土地を引き寄せました。それが現在の島根半島です。
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この国造りの際に大国主命と小名彦が窟を仮住まいとしていたという伝承があり、万葉集に納められている「大なむち(大国主命)、小名彦(すくなひこ)のいましけむ志都の岩屋は幾代経ぬらむ」(大国主命と少名彦命がすんでいらっしゃった岩屋はどれほどの年月が経っているのでしょう)の「志都の岩屋」ではないかといわれています。
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現在は崩落の危険があるため中に入ることはできませんが、波打ち際から洞窟内を眺めるとなんとも不思議な気持ちになります。現地付近の道幅は狭いため、近くから徒歩で行かれることをおすすめします。

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    <p style="font-size:160%; color:#0000cc;">太古の森のこぼれ話 「埋没林は化石なの?」</p>

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「化石になっていないんですね!」
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三瓶小豆原埋没林の出土木に触れた方がしばしば発する言葉です。
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確かに、埋没林の木は生木とほとんど変わらない状態で香りも残っていて、「石」に変わってはいません。一般的なイメージでは、埋没林は化石ではありません。
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しかし、埋没林は広い意味では「化石」です。
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「化石」を辞書をひいてみると「地質時代における生物の遺骸や遺体と生活の痕跡(生a痕)を化石という。」とあります。
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この定義では、「石」に変わっているかどうか、とうことは触れられていません。石のように硬いか、柔らかいままかということは、問題ではないのです。
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問題となるのは、「いつ」より古ければよいかということですが、はっきりと定義されているわけではありません。地層中に埋もれた樹木群である埋没林は、「森の化石」なのです。
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1万年前より新しいものは化石とは呼ばないという解釈もあります。それに依れば「化石ではない」ということになってしまいますが、数千年前の地層に含まれる生物遺体を「化石」と呼ぶ事例は多く、専門的な論文等の表記でも使われています。
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ちなみに、広島平野の地下からは、オレンジ色の方解石に置き換わった貝化石が出土することがあります。完全に石なのですが、時代的には1万年前より新しいものです。
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埋もれてからの時間が短くても石に変わることもあるのです。
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    <p style="font-size:160%; color:#0000cc;">食欲の秋・三瓶そば</p>

<img src="images/2011_10_02.jpg" alt="そばの花">

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食欲の秋、三瓶で楽しみなものの一つに三瓶蕎麦があります。
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今、三瓶山周辺では真っ白なソバの花が沢山咲いています。雄大な三瓶山を背景に可憐に咲く白い花は絵になります。
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三瓶山の寒暖の差が大きい気候と、水はけの良い火山灰質の土壌は蕎麦の栽培に適しており、収穫される実は薫り高い蕎麦となります。
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三瓶山周辺では美味しい手打ち蕎麦を食べられるお店が数件あり、11月下旬には新そばが登場します。三瓶のわさびをちょっとのせて、風味豊かな新蕎麦をお楽しみ下さい。
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