さんべ縄文の森ミュージアム(三瓶小豆原埋没林公園)

島根県大田市にある三瓶小豆原埋没林公園

ニュースレター

2012年12月号

おおだのあがなもん こがなもん 五十猛のグロ

グロ

大田市五十猛町の海岸では、全国でも例を見ない独特の伝統行事「グロ」が行われます。
1月11日~15日の間グロと呼ばれる仮屋を設けて歳徳神を迎え、一年の豊漁などを祈願する伝統行事です。伝承によると、昔、この地域は日陰の穴居で生活をしており、病気の流行や漁が乏しく、生活に苦しんでいました。
通りかかった神様方が日の当たる丘に竹や草を使った住居を作ることを教えた。おかげで住民は健康を取り戻し、漁に出ることも出来るようになった。その結果生活が楽になったため、神々に感謝して始まったそうです。

竹の柱を中心に立てられたグロは高さ20メートル、直径10メートルほどもあります。期間中、グロの中では地元住民が餅やするめ等を焼いて食べながら深夜まで談笑します。
私が訪れた日は、平日で学校帰りの子供達が集まっていました。グロの外にランドセルが行儀よく並べてあり、中から楽しそうな笑い声が聞こえます。外部の人間も歓迎していただき、中へお邪魔すると、立ち込める煙りの中で賑やかにおしゃべりしていました。入れ替わり立ち替わり人がやってきて、大人も子供も一緒に楽しむ様子は心が和みます。
グロは15日の早朝に解体され、各家から持ち寄った正月飾りとともに焼かれ行事は終わります。
大田市指定無形民族文化財、国の重要無形民族文化財に指定されています。(奈)

 

三瓶の新名物 天然シリカ水 「さひめの泉」

さひめの泉

三瓶山の水が「さひめの泉」の名で商品化され、美味しい水として人気を集めており、2012年モンドセレクションでは金賞を受賞しました。
「さひめ」とは三瓶山の古称「佐売比山」に由来し、三瓶山の噴火で形成された地層でろ過された地下水を使用しています。製造工場は三瓶町志学にあり、地下70mからくみ上げた水を外気に触れないままボトルに詰めて出荷しています。
この水は、シリカ(Si)というミネラル成分を1リットル中70㎎含むこと、硬度19という「超軟水」であることが特徴です。
まろやかな飲み心地のさひめの泉を飲んで体の内側からも「きれい」になりませんか?(真)

 

田舎で学ぼう! 大田市山村留学センター

山村留学センター

三瓶山麓に大田市山村留学センター『三瓶こだま学園』があります。
今年度で9年目となる『三瓶こだま学園』では様々な地域から集まった子供たちが、親元を離れて1年間、共同生活をしています。
月の2/3は学園で生活をし、残りの1/3は地域の農家の子供として暮らし、地元の北三瓶小中学校へ通学をします。

全国で山村留学事業を行っている地域は他にもありますが、ここ『三瓶こだま学園』の特徴は、全国でも稀な山と海の両方の体験ができる事。
また、世界遺産に登録された石見銀山が近くにある事です。そして何より、暖かい地元の方との心の繋がりが魅力です。センターで生活をしている間は、TV・携帯・お金・お菓子は一切禁止。現代社会だと考えられない生活ですが、学園生は米作り、魚釣りやスキーなど自然の中で学び、元気いっぱいに育ちます。
そんな子供達の素直な笑顔は大人達に元気をくれます。

山村留学センター

地域との絆は強く、将来島根での就職を希望していたり、成人式を大田市で挙げる卒園生もいるそうです。
この地を信頼して子供さんを預けている保護者の皆さんや、その子供達から沢山の事を教えてもらいます。
山や海などの自然は当たり前にあるものではなく、貴重な物だと言うこと。当たり前だと思っている暮らしが、実はそうではないと言うこと。
改めて、三瓶を含む大田市を誇りにし大切にしていこうと思わせてくれる場所です。(望)

山村留学センター

2012年10月号

田舎暮らしをプチ体験 「子ご美の里」

子ごみの里

近年、田舎暮らしが密かな人気です。その田舎暮らしを体験できる施設が三瓶にもあります。

それは埋没林公園から車で20分ほどの距離にある「子ご美の里」。

築130年の古民家を利用して、16年前に山村留学の子供達の受け入れを始めました。その後、家族と一緒に来てくれる子供達が増えたため、一般の方の利用もできるようにしていったと言う事です。 

日帰りコースでは蕎麦打ちや味噌作りといった、自然の素材を使った食品作りが体験でき、作った料理はその場で頂く事ができます。宿泊コースは田舎ならではの体験をした後、釜戸で炊いたご飯を食べ、五右衛門風呂で1日の疲れをとります。

この夏にも都会からのご家族が、田舎暮らしを体験され、田舎ならではのご馳走を食べ、蚊帳の中で寝る宿泊体験にとても感動して帰られたそうです。

今回、代表の矢田さんにお話しを伺いました。

矢田さんのとても素敵な笑顔から、何より、ご自身が楽しんでおられる事が伝わってきました。

テレビのない、自然に囲まれての田舎生活では、おのずと会話も生まれ、人との距離が近づくのでしょう。

矢田さんも「みんなの憩いの場になれば」と笑顔で話してくださいました。(望) 

子ごみの里

部屋の中心にはいろりがあり、体験の時には炭火をおこされます。

なんだか美味しい匂いがしてきそうです。

子ごみの里

自家製どぶろく

どぶろく特区として生産しています。

子ごみの里

五右衛門風呂の前は田んぼ。

はじめての子供ははじめはためらうそうですが、いったん入れば大はしゃぎだとか。

どんなことが体験できるの?

・宿泊体験

・自然の素材を使った食品作り

 (こんにゃく、味噌、豆腐、お餅、そば打ち、漬け物作りなど)

・野菜作り

・炭焼き体験

・棚田オーナー体験などなど

お問い合わせ

子ご美の里(こごみのさと)

〒694-0001 島根県大田市山口町佐津目235-1

TEL 0854-86-0401 

大田のあがなもん こがなもん
鬼村の鬼岩

鬼村の鬼岩

大田市大屋町鬼村。なんだか恐ろしそうな名前の山里があります。この地域のシンボル「鬼岩」は大きな岩を山の上にぽんと載せたよう。

この岩には鬼に関する伝説が残っています。

近くの山に住んでいた鬼が、ここに城を造りたいと村人に話すが断られ、観音様に相談した。すると「夜明けまでに城を造れば許す」と言われ山の奥から大きな石を運び出した。

しかし、本当に城を造られたら村人が困るだろうと思った観音様は夜中に「こけこっこー」と鶏の鳴き声をまねて鳴いた。

夜が明けたと思った鬼は、途中で石を投げ出し逃げていった。鬼が力を振り絞って運んだと見え、岩には5本の指の跡がはっきりと残っていた。

岩には本当に鬼の爪跡と思える様な穴が5つ開いています。海岸に近いところではこのような穴がよくありますが、山中ではあまり見られません。

どうしてこんな所にこんな岩があるのでしょう。鬼岩一帯の岩石は2000万年前に海底火山の噴火で、海水やマグマに含まれていた塩類や硫黄を含んでいます。

その成分が雨水で溶け出して岩を溶かし穴を開けているようです。鬼岩は島根県の天然記念物に指定されています。(奈)

大田のうまいもん 三瓶バーガー

三瓶バーガーのパテは、つなぎをいっさい使用しない島根産肉100%。

これを炭火で5分間、こんがりと焼き上げ、地元産の新鮮な野菜と、専用に作っている三瓶山をイメージしたパンに挟みます。

素材の味を生かすため、味付けは、シンプルにマヨネーズとケチャップのみという、こだわりのハンバーガーです。

お店のオススメでもあり、人気メニューとなっているのは「三瓶わさびバーガー」

三瓶山の清流で育ったピリっと辛いわさびと、お肉の風味にはまってしまいそうです。同じく、地元の材料をふんだんに使ったデザートもそろっています。

また、隣接するドックカフェで愛犬と一緒に楽しく食事ができ、良い思い出作りができそうです。

大田のうまいもんが詰まった三瓶バーガー一度味わってみてください。(真)

住所:大田市三瓶町多根1125-2

TEL:0854-86-0200

営業時間:10:00~17:00

定休日:火曜日

2012年8月号

蛍カフェ 美味しい食事と蛍のひかりを
楽しみました

蛍カフェ

毎月1回開催している「まいぼつりんカフェ」は、各回毎にテーマを設け、茶話会を楽しむイベントです。

6月は“蛍カフェ”と題し、蛍の光とお食事の2つを楽しみました。

 まだ明るい19時にイベント開始。まずは大田市駅前の「アンテナカフェハレの日」さんのケータリングによるディナーです。

芝生園地でのビュッフェスタイル。三瓶産、大田産にこだわった食材を使った料理が素敵な演出とともにテーブルに並ぶと、参加の皆さんの目が輝きました。しばらくはゆっくりと食事を楽しんで頂きました。

 食事がほぼ終わった20時頃には空は次第に暮れなずみ、テーブルに灯したロウソクの火が明るく感じられてきました。

 「蛍、飛ぶかな?」

 川の方へ目をやると、川辺の茂みに淡い光の点滅が。

 「あ、光った!」

 「きれい!」

 小さな蛍が子供から大人まで、みんなを魅了する事が出来るのは、きっと私たち人間には造り出すことが出来ない自然の物だからだと思います。自然の豊かさと強さを改めて実感したひとときでした。

9月の埋没林カフェは「お月見カフェ」。中秋の名月より1日早い29日の夜、月光の下で芋煮を楽しむ予定です。(望)

「アンテナカフェ ハレの日」

ハレの日

 地産地消の料理を通して、大田市の魅力を実感できるカフェ。

カフェ以外にもイベントや小物販売など幅広く手がけています。ウッド調でシックな店内は、落ち着いて食事を楽しむことができます。お店の雰囲気や料理からも、大田の自然を愛する思いが伝わってくるカフェです。

〒694-0064

島根県大田市大田町大田イ660-14

営業時間 10:00~18:00 休日 水・木

電話 0854-82-5655

琴の鳴る浜 琴ヶ浜の琴姫伝説

琴ヶ浜

 大田市仁摩町の琴ヶ浜は日本有数の「鳴り砂海岸」として知られています。浜辺を歩くときゅっきゅっと音が鳴るのです。1.6㎞に渡って続く砂浜は1996年に「日本の音風景100選」と「日本の渚100選」に選ばれました。

砂が鳴る条件は、丸みを帯びた石英を多く含む砂であること。浜が汚れていないこと。砂粒が小さく揃っていること等。浜が汚れてしまうと砂も鳴らなくなるのです。

 琴ヶ浜にはこんな伝説が残っています。

「ある日、琴を抱いた美しい娘が浜に流れ着きました。村人達の手厚い看護で娘は命を取り留めます。娘は壇ノ浦の戦いに敗れた平家の姫でした。

都を追われた姫はこの浜で暮らすこととなり、村人達へのお礼にと琴を弾きます。日毎夜毎奏でる琴の音色は村人達を励まし、慰めました。次第に村人達は姫を心から慕い、敬うようになりました。

しかし、1年経った春のある日、姫は流れ着いた船の中で息絶えていました。村人達は美しく、心優しかった姫の死をいたみ悲しみ、浜一帯が見下ろせる丘に琴と一緒に手厚く葬りました。

翌朝、漁師達が浜を歩くと、琴を奏でる様な美しい音が鳴ったのです。村人達は、きっと姫がこの浜に心を残して逝ったに違いないと言い合い、この浜を琴ヶ浜と呼ぶようになりました。

丘には姫の碑が建てられています。美しい伝説と共に、美しい砂浜が永遠に続くよう守っていきたいものです。(奈)

大田のうまいもん 梅のしそ巻き

梅のしそ巻き

 「これは、何が巻いてあるんですか?」

 当園の物販棚に並ぶ「梅のしそ巻き」を目にしたお客様からしばしば尋ねられます。

 これは梅の実を使った保存食。三日三晩干した梅の実を種からはずし、砂糖とともに一つずつ丁寧にシソの葉で包みます。その後、一年間寝かせて出来あがる、手間暇かけた一品です。

 梅のしそ巻きは、石見銀山ゆかりの食品とされます。梅には解毒作用があるとされ、江戸時代の鉱夫は梅肉を利用した防毒マスクを使っていました。そのため、石見銀山の周辺では昔から梅がたくさん栽培され、その梅を使って梅のしそ巻が生まれたそうです。

 砂糖が貴重だった時代は贅沢品だったそうで、年配の方からは「病気になると沢山食べさせてもらえた。」と聞きます。甘い梅干し、といった味で、そのまま白いご飯と一緒に食べるのもよし、さっぱりと揚げ物と合わせるのもお勧めです。 (菊)

2012年6月号

10年ぶりに発掘現場公開

埋没林公開

5月12日、13日の両日、埋没林の発掘現場公開を行い、遠くは栃木県からこのためにお越しになったお客様を含め、多くの方に地層から顔を出している埋没樹をご覧いただきました。

三瓶小豆原埋没林では30本の立木が発見されており、展示しているものの他は立木は埋め戻し保存しています。今回、埋め戻し木の状態を確認するための掘り出し調査を行い、あわせて現場を一般公開しました。

発掘現場の公開は、展示棟建設時以来、10年ぶりでした。公開では、小豆原埋没林発見の経緯や今回の調査目的などを説明した後、参加者は深さ約4mの発掘坑に降り、埋没樹(スギ)を間近で見学しました。火山灰から1mほど頭を出した木の下に10m以上の幹が続いていることを説明すると、埋もれている深さに驚きの声が上がりました。

数名づつはしごを下り、木の近くで説明を聞きながらじっくりと観察。その目は皆さん真剣そのもの。なんといっても10年ぶり。次はいつ見られるか分からないですから。短い時間でしたが皆さんの満足げな表情が印象的でした。

気になる埋没杉の保存状態ですが、外見は良好。

木の内部を抜き取り、専門の研究所に送り詳しく検査をします。この結果は今後の保存方法を検討する大切な資料になります。

後長奈緒美

まいぼつりんカフェ 新緑をテンプラで試食しました

まいぼつりんカフェ

毎月1回開催しているイベント「まいぼつりんカフェ」。普段は非公開の場所の案内と、各回ごとにテーマを設けた茶話会を楽しむイベントです。

 5月の「新緑カフェ」では、どこにでも生えている、いわゆる「雑草」をテンプラで試食しました。本当に大丈夫なのか?と、不安そうな顔もちらほらありましたが、コゴミ、ヨモギ、クズ、レンゲ、タンポポの葉、桜の葉など沢山の種類の草葉を試食しました。ちょっぴり苦みがあるものもありましたが、目の前にあるとついつい手が伸びてしまう不思議な感覚に。たまにはこういう食もいいものですね。皆さんも騙されたつもりで1度試してみてはいかがでしょうか。どれも美味しかったのですが、桜の葉だけは苦くて食べられませんでした。

 6月は「蛍カフェ」です。地元のこだわりの食材を使ったお弁当を食べながら小豆原川に飛ぶ蛍をゆっくり楽しむという内容。蛍の美しさに心奪われ、箸を動かす手が止まってしまうかもしれません。             
遠藤真理子

多根の巨木・佐比売山神社のスギ

佐比売山神社のスギ

三瓶町多根にある佐比売山神社の杉の巨木。幹周りは大人3、4人が手を広げてやっと取り囲むことが出来るほどの太さで、見上げると、空を覆い隠すほどいっぱいに枝を広げています。

その大きさのため、大雪の日には枝に積もった雪の重みに耐えきれず、周辺に“バキ、バキッ!!”と痛々しい音を響かせて折れてしまうことも。

また、昨年の落雷で縦に数メートルの亀裂が入りました。もしかしたら、この杉に落ちることで周りの民家を守ってくれたのかも知れません。数々の自然災害にも負けず、沢山のことを経験している巨木は、今も元気に私たちを見守ってくれています。

大床望

2012年4月号

大田の あがなもん こがなもん 三瓶雪景花火大会

雪景花火

3月3日、2000発の花火が三瓶山東の原の夜空を華やかに彩りました。

三瓶温泉協会が中心となり、石見銀山遺跡の世界遺産登録5周年を記念して12年ぶりに復活させた冬の花火。

午後7時、白銀の東の原上空に大輪が次々に開くと、県内外から押しかけた観客からため息のような歓声が上がりました。

花火の色が雪原を鮮やかに彩り、白い息を吐きながら見る花火は夏とはひと味違う美しさです。

会場では、地元有志による暖かいシシ汁、焼き鳥などの屋台が出店され、こちらも大盛況でした。

また、花火の打ち上げ前には、「さんべdeさけべ!!」というイベントも開催。

三瓶山で愛を叫ぶをテーマに、参加者のみなさんが日頃口に出来ない、家族や恋人への想いや感謝を空に向かって大声で叫ぶと、会場からは拍手や笑いがおこり、大いに盛り上がりました。

まいぼつりんカフェのお知らせ

雑煮

花見や新緑、蛍と、毎回テーマを変えながら、4月から11月に毎月1回開催します。

屋外で地元のお菓子やお茶を楽しみながら、太古の森の不思議をスタッフが紹介するイベント。

普段非公開の展示室の地下や天井裏もご案内します。4月は、少し遅く咲くヤマザクラの花を楽しむ茶話会。一緒に春の訪れを満喫しませんか?

 ○4月15日(日)14:00~1時間程度

 ○参加費:入園料

 ○定員:20名(当日先着順)

ユキワリイチゲ咲きました!!

ユキワリイチゲ

当園から徒歩10分のところに、「ユキワリイチゲ」の群生地があります。

この花、漢字では「雪割一華」。2月下旬から3月の雪解け直後に咲くことがその名の由来です。直径4cmほどの、淡い紫色の可憐な花で、「春の訪れを告げる妖精」と呼ばれる花のひとつです。

この花は、よく晴れた暖かい日にしか開花しません。今年は、つぼみがついてからも気温が低く、なかなか開いてくれませんでした。

蕾がふくらんで今にも咲きそうになってから、幾度も群生地に足を運んだものの、毎回空振り。今年は咲かないまま季節が過ぎるかと心配しはじめた3月16日、ようやく咲き誇る姿に出会うことができました。

花の繊細な色合いがなんとも美しく、心を奪われます。春の訪れを実感し、毎年新鮮な感動がある花です。

この群生地は、三瓶町多根地区の住民の方が3年かけて環境整備され、年を追って花の数が多くなっています。

開いた花に出会うのは難しいけれど、それだけに会えた時に嬉しく、癒しを感じさせてくれる花。是非、多くの方にこの魅力を感じて頂きたいと思います。

多根の巨木

佐毘売山神社のシイ

三瓶町多根にある佐比売山神社には杉、エノキ、シイの木などの巨木がお社を守るように立っています。中でも、シイの木はとても不思議な形をしています。

幹が二股に別れていて、この空間だけでも横幅1.7メートル縦3メートル近くあり大人でも楽に通り抜けることが出来るほどの大きさです。

二本足で立って見下ろしている巨人のようです。長い年月を掛けて成長する間にこの木になにが起きたのか想像してみるのもおもしろいかもしれません。

2012年2月号

大田の あがなもん 城上神社の鳴き竜

城上神社社殿

大田市大森町、石見銀山資料館のすぐ近くに「城上(きがみ)神社」があります。

大物主命(おおものぬしのみこと)を祀る神社で、石見銀山の安全と繁栄を願う、大森の氏神様です。

もともとは仁摩町馬路の高山にあったものを大内氏が移動し、さらに毛利氏によって現在の場所に築かれたそうです。
城上神社でおきる、ちょっと不思議な現象を紹介します。

鳴き龍

拝殿のなかに入り格天井の中央を見ると、そこには大きな極彩色の「龍」が描かれています。1818年に三瓶の絵師・梶谷円隣斎守休(かじたにえんりんさいもりやす)の手により、描かれたものです。

この絵の真下で拍手を打つと「ビィーン、ビィーン」と、不思議な音が鳴り響きます。澄んだ空気の中で静かに響く音を聞いていると、寒さも忘れ心が洗われるようです。まるで絵の龍が鳴いているように聞こえることから「鳴き龍」と呼ばれ、大田市の文化財に指定されています。

今年の干支「辰」にちなんで、石見銀山にお越しの際は、是非お参りしてみてはいかがでしょう。

大田のうまいもん 大田の雑煮

雑煮

正月の朝は「お雑煮」ですよね。

具やだし汁など各地様々だと思います。大田のお雑煮はとてもシンプルです。

軟らかく煮たおもちに、昆布と鰹節でダシをとり、醤油、みりん等で味付けしたつゆをかけます。鰹節と岩のりをたっぷりとのせれば出来上がり。あっさりしていて沢山食べられます。

魚津埋没林

魚津埋没林出土木

富山県の魚津市の海底には、スギを中心とした埋没林が眠っています。特別天然記念物の「魚津埋没林」です。昭和6年、魚津港の整備の際に海底から発見され、その出土木は同市内の魚津埋没理林博物館で保存公開されています。

博物館では、水中展示館と乾燥展示館、ドーム館にそれぞれ出土木が展示されています。水中展示館では大きなプールの中に、最初に発見された3本のスギ樹根が展示されています。プールは実際に発見現地に設置されたものです。樹根の最大のものは、根の端から端まで約10mあり推定樹齢500年と言われています。プールは大深度からくみ上げた地下水を常に入れ替えており、のぞき窓から見ると澄み切った水の中にひっそりとたたずむ樹根は神秘的な美しさを感じさせてくれます。また、乾燥展示館では実際に手で触ることもできます。

魚津埋没林は約2000年前に海岸近くに茂っていたスギ林が、立山連峰から流れ出る片貝川の氾濫によって埋もれました。富山湾沿岸の地盤は沈降傾向にあるため、埋もれたまま海底に沈みました。この森は、太古の自然と、地盤変動を物語っているのですね。

実際に現地を訪問して海底から現れた太古の森に触れると、木々が私たちになにかメッセージを伝えようとしているように感じられました。

詳しくは魚津埋没林博物館のホームページをご覧下さい。

魚津埋没林博物館

新雪の年明け

雪の展示棟

2012年の仕事始めの日は雪景色でした。

ここ数年には珍しい穏やかな年末年始でしたが、元日の深夜から雪が降り始め、翌2日には埋没林公園周辺は10㎝ほどの積雪となりました。

それでも雪の中、開園直後からお客様においで頂き、嬉しい一年の始まりとなりました。

本年も太古の森の素晴らしさを沢山の方々にお伝えして行きたいと思っています。