さんべ縄文の森ミュージアム(三瓶小豆原埋没林公園)

島根県大田市にある三瓶小豆原埋没林公園

ニュースレター

2013年10月号

あがこが

 

三瓶町志学展望所

 三瓶町志学から上山地区へ至る農道脇の展望所には、3つの注目ポイントがあります。
 ひとつは、三瓶山の全峰を一望できる抜群の眺望。眼下に志学の町並みが広がり、その向こうに男三瓶、女三瓶、子三瓶、孫三瓶、日影山、太平山の6つの峰が全て見えます。全峰が一望できる場所は南麓側からに限られ、ここは道ばたから見ることができる唯一の場所といえるでしょう。

志学展望所

中央奥が男三瓶山(1126m)、その右が女三瓶山、左手前に孫三瓶山が見え、孫三瓶山の左に子三瓶山の山頂が顔を出しています。


志学展望所

志学展望所の全景。芝生園地になっていて、東屋が設けられています。

 2つめの注目ポイントは、園地脇の崖に三瓶山の噴火で降り積もった火山灰などの地層が見られること。ここでは7万年前から4000年前までの間の、5回の活動で降り積もった火山灰が見られます。このように、複数時期の活動による火山灰が見られる場所は珍しく、三瓶山の歴史を物語る貴重な地層です。

志学展望所

地層は斜めに重なっています。左下が最も古く、7万年前の火山灰層で、約3万年前、約1.6万年前、約5000年前、約4000年前の火山灰が重なります。

 3つめは5000本の桜。
地元の人たちが、2005年から5年がかりで農道沿いに植えたものです。現在は市民参加による下草刈りなどの整備が行われ、木の成長とともに少しずつ花の数が増えてきています。10数年後には、満開の桜と雄大な三瓶山が一度に楽しめるようになると期待されます。
 現在の三瓶山の姿と、山を作り出した火山の歴史を物語る崖。この2つを眺めながら、未来の桜並木を想像して、ゆっくりと過ごしてみてはいかがでしょう。(奈)


うまいもん

 

三瓶バーガー出雲大社店

 大田市三瓶町にあるご当地バーガーのお店 「SANBE BURGAR」2号店が、出雲大社の神門通りにオープンしました。本店とはまったく違う雰囲気で、ゆったりとしたカフェ気分で食事を楽しめます。

三瓶バーガー

もちろん2号店も島根県産肉100%のパテはかわらず。地元産の食材を豊富に使用しているこだわりは忘れていません。
 大社店限定、「出雲スペシャル 800縁(円)」は具たっぷり。2種類のチーズと出雲産のトマトを使用した、ここでしか味わえないバーガー。一番人気だそうです。お店のオススメは「カライバーガー 700縁(円)」オリジナルの辛いソースとニンニクケチャップがクセになりそうです。地元職人のベーコンを使用しており、施設空間にも、味にもこだわりが詰まっています。

また、サイドメニーも豊富で、木次牛乳を使用した ソフトクリームがオススメです。 本店と食べ比べて見てはいかがでしょう。(真)

三瓶バーガー

 

埋没林解説書 森のことづて

森のことづて

 「森のことづて」は、当館の開館10周年を記念して、今年4月に発行された埋没林の解説書です。

 埋没林が物語る縄文の森の姿、埋没林の形成過程と発見の経緯、三瓶山の生い立ちを、簡潔な文章と写真で紹介しています。

 冊子のタイトルには、4000年の眠りから目覚めた埋没林が私達にメッセージ(言伝)を伝えてくれるのではないか、という筆者の想いが込められています。 当館と、三瓶自然館の売店で販売しているほか、郵送でも取り扱いしています。問い合わせは三瓶小豆原埋没林公園まで。

2013年8月号

イベント・まいぼつりんカフェ 蛍カフェを開催しました

 さる、6月22日(土)、「蛍カフェ」を開催しました。前日から雨模様で開催が心配されましたが、幸い当日の開催時刻には天候も見事に回復し、たくさんのお客様にご参加頂くことができました。

 このイベントは、大田市で人気のアンテナカフェ「ハレの日」さんとのコラボレーションで開催。三瓶産の食材にこだわった料理を用意して頂き、お客様にも大好評でした。

さらに、前日21日が「ハレの日」のオープン三周年だったことから、これを記念して、特別ゲストとして雲南市在住のジャズシンガー白築純さんがミニライブを披露してくださいました。夕刻の幻想的な雰囲気の中、食事をしながら素敵なライブをお楽しみ頂いて、ライブが終わる頃にはすっかり陽も沈み、あたりは暗闇に。すると、この時を待っていたかの様に一匹…二匹…と蛍がほのかな光りを放ち始め、川辺ではあちらこちらで「あそこに飛んでる!」「すご~い!」などと声があがっていました。

今後もお客様に喜んで頂ける様なイベントをたくさんご用意しておりますので、ぜひ三瓶小豆原埋没林にお越しください。(宏)

蛍カフェ

蛍もだけど、このお料理が楽しみだったのよね

蛍カフェ

小学校の給食で使われていたコンテナ。懐かしい~

蛍カフェ


白築純さんのライブ。澄んだ歌声が山間に響きます

埋没林のちょっと気付かない「みどころ」 
埋没林展望休憩所

三瓶小豆原埋没林公園の北側の小高い丘に、小豆原地区の氏神である大歳神社があり、その境内が展望休憩所として整備されています。ここに登ると、埋没林公園を眼下にして三瓶山を遠望することができ、位置関係がよくわかります。4000年前の縄文の森に想いをはせながら家族友人で弁当でも拡げてみてはいかがですか。(則)

埋没林展望休憩所

めざせ大物! 
釣り堀『やましろ屋』 (三瓶町小屋原)

 イワナの超大物が釣れると評判の釣り堀「やましろ屋」が、 三瓶山西の原に近い、三瓶町小屋原にあります。三瓶川源流の冷たいわき水を使った釣り堀にヤマメとイワナが放され、小さなお子さまでも手軽に渓流魚釣りを楽しむことができます。 竿、仕掛け、エサは用意してあり、手ぶらで出かけてもすぐに釣りを楽しむことができ、釣り上げた魚はその場で塩焼きにして食べることもできます(別料金)。

また、予約制で、魚のつかみ取りも体験できます。 先日、訪問してみると、 小さなお子さんがたくさん釣りあげていました。夏休みの宿題の絵日記に楽しい思い出が書けたのではないでしょうか。私も塩焼を1匹試食させていただきました。とても美味しく、次はぜひ自分で釣った魚を食べたい!と思いました。(菊)

やましろ屋

2013年6月号

イベント・まいぼつりんカフェ 新緑カフェを開催しました

 3月から10月まで、毎月1回開催しているイベント「まいぼつりんカフェ」では、各回毎にテーマを設け、季節感を味わえる内容で茶話会を楽しみます。展示棟の床面など、普段は公開していない特別な場所への案内も行います。

 5月は「新緑カフェ」と題して、ヨモギ、レンゲ、タンポポ、オオバコ、ユキノシタなど、身近な植物をテンプラで試食しました。なかには、日常は食べない「雑草」と呼ばれるものもありますが、参加者の皆さんは、ためらうことなく口にして、意外なおいしさに驚いたり、やっぱりこんなものかと納得したりと盛り上がりました。

 また、北三瓶地区で手作りしている「さひめっ娘味噌」と小豆原の野菜を使ったみそ汁も飲んで頂き、これまた好評でした。(真)

テンプラ試食

雑草の味は・・・? 興味津々の参加者

ユキノシタ

見た目はトゲトゲでも意外と?美味しいユキノシタ

大田のこがなもん あがなもん 石見銀山・大久保間歩(おおくぼまぶ)

 世界遺産・石見銀山遺跡には600を超える採掘跡が確認されています。本谷、永久の二つの坑道群のうち、本谷地区で最大の坑道が「大久保間歩」です。その名は、石見銀山の初代奉行、大久保長安にちなみます。長安が馬に乗ったまま入ったという言い伝えがあり、それも無理ではないと思えるほど広い空間を持つ坑道です。

 坑内に入ると、ひんやりとした風を感じます。年間を通じて、坑内の気温は10度以下で、夏場は天然のクーラーのようです。

 坑内を進むと、まず床面に残るトロッコ軌道の枕木の跡に気づきます。明治時代に再開発が行われた際に設置されたものです。

最初の分岐点あたりから、側面や天井に鉱脈に沿って掘った採掘の痕跡が現れます。分岐点を過ぎてさらに行くと、再び分岐があり、このあたりで注意深く壁を観察すると、上部は壁が平坦でノミ跡が残りますが、下部はごつごつと荒い岩肌がむき出しです。

荒い部分は明治時代に機械で広げた部分で、手作業で行われた江戸時代の開発との違いが良くわかります。

 公開範囲の一番奥付近は、天井までの高さが10m前後に達し、それだけでも驚くほどの広さですが、非公開部分にはさらに広い空間がいくつもあり、「福石場」と呼ばれていたそうです。

そのような部分では、一帯の石がすべて銀鉱石になっていて、多量の鉱石が採れた場でした。限られた幅の鉱脈を掘る場合と異なり、福石場では一度に何人もが採掘作業にあたることができ、効率的です。

福石場の存在は、比較的軟質で掘りやすい岩質とともに、16世紀の石見銀山が“特別な鉱山”だった大きな理由のひとつと考えられているそうです。

 大久保間歩は、4~11月の金、土、日曜日と祝祭日に公開ツアーが行われており、ガイド付きで見学できます。石見銀山の本質と特異性を知ることができるこのツアー、おすすめです。(菊)

この記事は、おおだwebミュージアム

を参考にしました。

大久保間歩

大久保間歩の坑内。この部分は鉱脈に沿って掘った跡で、天井まで10m近い高さがある。

2013年4月号

春の妖精に会う

3月10日(日)イベント「雪割一華カフェ」を開催しました。当館から徒歩10分のところにユキワリイチゲの自生地があります。

2月下旬、雪解け間もない頃に咲き始めることから、三瓶山に春の訪れを告げる「春の妖精」と例えられる事もある、淡いうす紫色をしたとても可愛い花です。ですが、暖かく晴れた日に、お日様の光を浴びていないと花を開きません。条件がそろわないと、綺麗に咲いているところを見ることができないのです。

イベントを開催した日は朝から冷たい雨が降り、冬並の寒さ。条件としては最悪で開花も見込めない状態でした。それでも歩いて自生地へ観察に行ってみました。やはり花は開いておらず、楽しみにしておられていただろうなと思いながら、参加者と話していると、「雨の日のユキワリイチゲも素敵ね」と、おもいもよらない言葉が聞けました。

花が開いてないのに、素敵と思わせるほど魅力があるユキワリイチゲ。毎年見ているのですが、今年もまた新たな感動を得ることができました。

普段は、晴れた日にじっくりと花を見ますが、あえて雨の日の観察会も良い機会だったと思います。お客様から好評で、天候に負けず楽しい時間を過ごせました。

2月下旬から3月中旬の三瓶にお越しの際はユキワリイチゲの自生地へ是非足を運んでみて下さい。晴れの日はもちろん、雨の日も素敵なユキワリイチゲに会えるかもしれません。(真)

雨の中の観察会風景

雨の中の観察会風景

雨に打たれるユキワリイチゲ

雨に打たれてうつむく花。こんな状態の花を見る機会もまた少ないかもしれません。

晴れの日のユキワリイチゲ

晴れた日のユキワリイチゲ、まさに「春の妖精」地元の方々の努力で年々花が増えています。

大田のこがなもん あがなもん 舟越坂(ふねんござか)

大田市の鳥井町と長久町の境に古くから「舟越坂」と呼ばれる緩やかな坂道があります。

この坂の名前に「舟」の文字が使われているのは、ある伝承と関わりがあります。それは「万寿3年の大津波」伝承。
万寿3年は西暦1026年にあたります。この年、大津波が襲ったという伝承が石見地方の各地に伝わります。この津波によって、海から舟が押し上げられた場所が舟越坂といわれているのです。

現在の海岸から舟越坂までは1km以上離れていて、坂の頂上の標高は30mを超えます。本当にこの坂を津波が越えたなら、大変な大津波だったことになります。

万寿3年の大津波は、益田沖にあった「鴨島」を沈めたとも伝わりますが、その実体はよく分かっていません。

伝承に残るほどの大津波であれば、相当大きな地震があったと思われるのですが、その記録が、日本国内にも、朝鮮半島にも残っていないのです。

しかし、こういった言い伝えが各地に残っているのは、災害を引き起こすような自然現象が何かあったのでしょう。山陰地方は、地震や津波の被害が少ない地域ですが、舟越坂などの伝承は、「油断は禁物だよ」と教えてくれているような気がします。(菊)

舟越坂

舟越坂

大田の旨いもん さひめっ娘味噌

大田市北三瓶地区には地産地消の味噌があります。その名も“さひめっ娘味噌”。

三瓶山の自然に恵まれた地元の米や大豆を使用した手作り味噌です。地元の方々が地域活性化の1つとして始めた味噌作りは、今年で6年目。

米から米麹を作る作業では温度管理が重要で、全てを機械に任せる事はできず、ベテランの者の感覚が必要となります。また、納豆菌と化膿菌は強く、米麹作りの邪魔をするので、生産期間中は納豆を食べない、少しでも怪我をしている時には味噌作りをしない、など心がけているそうです。

試行錯誤の結果、大豆の風味がしっかりと感じられる美味しい味噌に仕上がりました。もちろん無添加で安心して食べられます。

年間1,600㎏の味噌を作っており、市内の飲食店などで販売をしている他、電話での注文も受け付けています。(望)

問合せ:水土里ネット北三瓶活性化グループ

(林 一敏) TEL:0854-86-0102

さひめっ娘味噌

さひめっ娘味噌

2013年2月号

おおだのあがなもん こがなもん さんべ志学の雪あかり

さんべ志学の雪あかり

大小、様々なかまくらが沢山並びます。


さんべ志学の雪あかり

ひんやりとした空気の中の暖かい炎に癒されます。

大田市三瓶町志学では、「さんべ志学の雪あかり」というイベントが行われます。雪で小さなかまくらを作り、その中にキャンドルを灯すイベント。前日に地元住民と県内外からの有志のみなさんが協力し、2000個ものかまくらを1つ1つ手作りで会場周辺に設置します。
 当日、会場には雪とキャンドルの灯りのみ。それだけでロマンチックな世界が生まれます。昨年参加しましたが、見た瞬間心を奪われ、寒さを忘れるほどの素敵な空間でした。良い思い出になる事間違いなしのイベントです。
 周辺では、おでんやシシ汁、焼き餅等の露店のほか、三瓶温泉「志学薬師 鶴の湯」が無料開放されます。雪あかりと温泉で心も体も温まります。
 多くの方にこのイベントに参加して頂き、冬の三瓶を楽しんでいただきたいと思います。ぜひ足をお運び下さい。(真)

 

<開催予定日> 2月10日、日曜日 17:30頃。

<問い合わせ先> 志学まちづくりセンター TEL(0854)83-2167

ホームページ さんべ志学の雪あかり実行委員会

さんべ志学の雪あかり

地元有志の方々の心のこもった料理です。

 

さんべ花火大会開催

 3月2日(土)、早春の三瓶山東の原で花火大会が開催されます。昨年に続いての開催で、今回は三瓶山の国立公園指定50周年を記念しての大会です。当日、16:00開場で、神楽上演やバンド演奏の後、19:00から打ち上げ開始です。
 打ち上げ数は3000発。大田市内の店舗などによる屋台の出店も計画されています。
 会場周辺は一般車両の進入が規制され、東の原駐車場は有料の参加券をお持ちの方のみ利用できます。詳しくは、三瓶自然館(0854-86-0500)またはさんべ荘(0854-83-2011)へお問い合わせください。

 

山口郷土館

山口郷土館

展示室内。

 山口郷土館は、大田市山口町にある郷土資料館です。地元の方が運営しており、町内から集められた古民具が展示されています。展示品は日用品や農具、祭具まで様々で、学校のピアノまで展示されています。これらの道具をじっくり見ると、幾度も修理、補修をした跡が残るものがあり、昔の人が物を大切に使っていたことが感じられます。施設管理の杉本さんの、「この道具達には、生活の知恵と、家族のきずなが詰まっている。」という言葉に実感がこもります。
 江戸時代の山口村は出雲国に属し、隣の多根村との境が石見国との国境でした。峠の細い道ひとつ隔てて、言葉も風習も違いがあったそうです。例えば、郷土館には男児の誕生祝いに送られる「泥天神」が展示されていますが、これは出雲地方の古い風習で、石見側の地域にはみられないものです。

山口郷土館

昔、男の子が生まれた時に贈られた「泥天神」。出雲文化の流れをくむ山口町の風習だった。

 山口村は大田市制施行(1954年)の際に大田市へ編入されました。現在は隣接する三瓶町多根と一体化し、生活様式の変化や情報化社会での平均化によって、かつての国境での微妙な違いも失われてきているそうです。山口郷土館に残る資料は、古い地域割りでの文化の違いの名残を留める貴重なものといえるかも知れません。杉本さんは、せっかくこれだけの道具が保管されているのだから、現代の人にも昔の道具につまった生活の知恵や地域の文化を学んでもらいたいとおっしゃいます。その言葉を聞き、文化を守り伝承することの大切さについて考えさせられる思いがします。(菊)

大田の郷土料理「おまん寿司」

おまん寿司

おまん寿司は、「寿司」と言ってもお寿司屋さんでは扱っておらず、ごく庶民的な大田の家庭料理です。もともとは江戸で流行っていた食べ物とされ、石見銀山に働きに来た人々によって伝えられたと言われています。
 魚に包まれているのはすし飯ではなく、“おから”の寿司です。新鮮なアジやコハダなどを酢で締め、調味したものでおからを巻いてなじませます。おからにはすこし甘めの、すし飯の様な味付けがしてあります。アジ、酢、おからの組み合わせは、小さな子供には好まれない味かも知れません。私自身、子供の頃はあまり好きではありませんでした。大人なってからは、独特の食感と酸味を美味しいと思うようになりました。 手作りする家庭もありますが、地元のスーパーで売られていて、手軽に食べられます。(奈)