【特別連載4】地上80m!江津高野山風力発電所で“風から電気”が生まれる様子を見に行ってきた!
地上80m!江津高野山風力発電所で
“風から電気”が生まれる様子を見に行ってきた
最近、たびたび耳にするようになってきた「再生可能エネルギー」、略して“再エネ”。
なんとなく「環境にいい」との認識はあっても「そもそも何?」「どんなもの?」「どうして必要?」といった疑問が沸いてくる方も多いのでは?
「風力発電」という言葉も知ってはいるけど、どんなものかはよく知らない人、圧倒的に多数なハズ。
そこで行ってみました!島根県企業局が運営する江津市の「江津高野山風力発電所」。
ここでは風車が9基並び、なんと間近まで行けるんです!

圧倒的な存在感!そそり立つ風車を見にゼロ距離まで迫ってみた
風車って「遠くに見えるもの」というイメージがありませんか?
でも、「江津高野山風力発電所」は、ゼロ距離まで接近できるうえ、外観は自由に見学OK!なんです。

この日、私たちが向かったのは8号風車。
ちなみに、「江津高野山風力発電所」の9基の風車にはそれぞれ名前がついていて
私たちが訪ねた8号風車には「風龍(ふうりゅう)」の名前がつけられています。
風の中を自由に飛び回る龍をイメージされたそうで、名付け親は地元の小学生たち。
地元のシンボルのひとつとして親しまれています。

現地へ車で向かうと、白い塔が徐々に見えてきた!
進んでいくと、どんどん“巨人”になっていきます。
風車の柱の高さは約80m。
見上げると首が痛くなるレベルで、思わず「でっか・・・」と心の声が漏れるほど。
写真で見る風車と、現物の迫力。まったくの別ものです。
しかも、こんなに大きいのに、回転音は意外と大きくない。
「ゴォォォ!」みたいな轟音を想像していたのですが
実際はスースーっと静かに回っていました。

足元を見れば、ブレードの回転と連動して、大きな影が移動。
巨大なものが、静かに、規則正しく動いています。

スケール感はいうまでもありませんが
間近で見学できる醍醐味は、「風を受けて動く」その様子を体感できること。
ブレードの回転によって、目に見えない風を見ているような感覚がありました。

ちなみに取材時に伺ったのですが、風の影響が少ない時期に、年に数回、
人手でブレード(羽根)を点検するんだそう。
ロープでぶら下がっての点検は、その姿が「忍者みたい」と評判になったとか!
写真を見ると確かに納得です(怖っ。でも、いつか見てみたい)。

そもそも、風力発電ってどんな仕組み?
-風のエネルギーを電力に変える“再エネ”-
風力発電は、「再生可能エネルギー(再エネ)」のひとつ。
再エネは、太陽の光や風、水の流れ、地熱など
自然の力などを利用して電気や熱をつくるエネルギーのこと。
島根でも、地域の自然条件に合わせて少しずつ活用が広がっています。
詳しくは、コラム【保存版】5分で分かる「再エネ」のキホン!種類や特徴などを簡単に解説を見てくださいね。
-まずは外から見える「パーツ」を解説-
風車は、外から見える部分だけでも役割がはっきりしています。

上部から
・ブレード(羽根):風を受けて回る部分
・ハブ:羽根を取り付ける中心部分
・ナセル:タワーのいちばん上にある箱(中に発電機などが入っています)
・タワー:ブレードなどを支える柱(江津高野山は羽根の中心まで高さ約80m)

江津高野山の風車は、羽根の直径が90m。
つまり、ブレード1枚の長さは約45m。
45mって、想像できますか?

今回の取材では、江津市内の浜辺に保管された交換用ブレードも見学させていただきました。
地面に横たわるよう保管されていて、フェンス越しなら誰でも自由に見ることができます。

取材時には特別にフェンスの中へ入らせていただきました。
その規模感は圧倒的。

細長い管のようなものなのにほぼ建造物。
宇宙船のような近未来感も。
こんな大きな羽根が風を受けて回ることに、改めて自然の力の大きさを実感しました。

-スムーズに発電するための隠れた3つの仕組み-
風力発電は、風を受けてブレード(羽根)が回転することで、ナセル内で回転力を電気エネルギーに変換。
そうして発電された電気は、電力会社を通じて各家庭などへ届けられていきます。
ですが、ただ回るだけでは安定して電気をつくれません。
風の強さや向きはいつも変わるため、“ちょうどよく回す”ための仕組みが中で働いています。
1:可変ピッチ機構(羽根の角度を自動で調整)
風の強さに応じて、羽根の角度を自動で変える仕組み。
風が弱い時は風を受けやすい角度に、風が強い時は羽根の角度を調整して
余分な風を受け流すよう、発電しやすい状態を保ちながら、機械を守る役割も担います。

2:方位制御機構(ヨー制御)(風に正対するよう向きを変える)
風を正面から受けられるよう、風向きに合わせて風車の向きを自動で調整する仕組みです。
向きがずれると効率が落ちるので、“風を正面からとらえ続ける”ことがポイントに。
3:増速機(ギア)(回転を“発電しやすい回転数”へ)
ブレードの回転を、ギアで発電に必要な回転数まで増やす装置。
風で生まれた回転をそのまま使うより、発電に適した回転へ整えることで
効率よく電気に変えやすくなります。(タイプによっては増速機を使わず、発電機と直結する方式もあります)
また、風が強すぎて回転速度が上がりすぎる場合は、安全のため停止する仕組みも。

外から見えるパーツに、ピッチ(角度)・ヨー(向き)・増速(回転数)の
“見えない仕組み”が加わると、風車は風の変化に合わせて「ちょうどよく回る」状態を保てるようになります。
ブレードで生まれた回転は、(必要に応じて)増速機で発電しやすい回転数に調整され
ナセルの中の発電機へ伝わり電気が生まれます。
つくられた電気は設備を通って送られ、私たちが普段使う電気へとつながっていきます。

-数字で見ると、さらに“自分ごと”になる-
「江津高野山風力発電所」は、風車1基あたり定格出力2,300kW、それが9基で合計20,700kW。
島根県企業局の資料によれば、目標供給電力量として年間3,077万kWhが示され、標準的な家庭が使用する電力量(1年間で約3,600kWh)で換算すると約8,500世帯分に相当。
また、事業の効果としてCO2削減量:約21,700トン/年、原油削減量:約7,400kL/年といった数字も公表されています。
ただの風景だと思っていた“でっかい風車”と、“私たちの暮らし”が、“電気“によってつながってきましたね。

見学ツアーに参加して風力発電&再エネを深く知る!
「もう少しちゃんと知りたい」、「自由研究・探究のネタにしたい」なら
島根県企業局が実施している「江津万葉の里 再生可能エネルギー見学ツアー」に参加してみてください。
江津市内の再エネ施設を巡りながら、職員の案内で学べるツアーです。

このツアーの良さは、“見るだけ”で終わらないこと。例えば「江津高野山風力発電所」なら・・・
・企業局の担当者から、風力発電の仕組みから江津高野山の特徴まで、かみ砕いて分かりやすく教えてもらえる!
・夏休みに実施される小学生向けの見学ツアーでは、見学の後に、ペットボトルを素材にした「風車づくり」工作ができる!

開催は原則、毎月第3水曜ですが、個人でも参加可能なインフラ系ツアーとしては貴重な存在。
天候や都合で変更の場合もあるので、最新情報はHPをチェックしておきましょう。
(掲載時2026.3時点の情報です)

風車のある風景、島根
ドライブ中の車窓から見えるブレード、夕日に浮かぶ姿、“発電所”という響きゆえに、あえて見に行ったり、近くへ行ったりすることもないけれど、巨大な鉄柱と翼を広げたようなブレードには、実は技術が詰まっているんです。
江津高野山風力発電所(江津市)
稜線にずらりと並ぶ9基は、引きでも、見上げても迫力満点。暮れなずむ夕日に染まって、ぼんやり浮かび上がるシルエットが!

浅利海岸(江津市)
海沿いに風車がずらり。風車上部に石見神楽のキャラクターの名前が書かれているものも。

十六島(うっぷるい)風車公園(出雲市)
岬の先に風車が並ぶ。白い塔と日本海の青のコントラストが目を引きます。

風車は、知れば知るほど「ただの景色」じゃなくなります。
「私の近くにある風力発電ってどこかな」、「そういえば、あの山の上にあったな」とこれをきっかけに、再エネとしての発電が気になり出すかも。