さんべ縄文の森ミュージアム(三瓶小豆原埋没林公園)

島根県大田市にある縄文時代の森。日本遺産「石見の火山が伝える悠久の歴史」構成文化財

イベント

【実施済】月イチガク⑤「ゆれる!~島根の地震を考える~」

 

 2026年7月28日、熊本県をマグニチュード(M)7.1の地震が襲いました。2016年の熊本地震から10年が経過し、復興が進んでいた矢先の大地震です。震源となった断層は同一ではないものの、隣接地でこれほど大きな地震が10年の間に2回も発生したことに多くの人は驚きました。一方で、専門家には今回の震源域が「割れ残り」になっており、再度の地震の可能性が高いことを予測していた人もいました。2016年の熊本地震も、M6.5の地震で震度7を記録した直後に大地震が発生しており、中央構造線という大断層帯に蓄積されたひずみが断続的に破壊を生じさせることを示すものでした。大地に蓄積されたひずみが地震を引き起こし、それは日本列島のどこででも発生する可能性があります。地震被害が少ないと言われる島根県も例外ではなく、過去には大地震による被害を受けたことがあり、将来も必ず発生するのです。

 

 

地震を引き起こす「ひずみ」

 地震は地球表層の岩盤に力が加わり、その力によってひずみが蓄積され、限界に達した時の破壊による衝撃です。断層が地震を引き起こすというイメージがありますが、正確には断層は破壊の傷跡であり原因ではありません。でも、ひずみが蓄積されやすい場所がある程度決まっていて、一度破壊が発生した場所である程度の間隔で繰り返し破壊が生じるため、同じ断層が幾度も動きます。熊本の地震はその一例でしょう。

 ひずみをもたらす力はプレート運動に起因します。地球表面の硬い岩盤の層がプレートと呼ばれ、それは何枚にも分かれています。海洋底を作るプレートは、常に新しいものが生成されて古いものが深部に沈み込んで循環しています。太平洋の海底は中央海嶺で生まれて、年間数cmの速度で移動して、日本列島付近で大陸プレートにぶつかってその下に沈み込んでいます。プレートの境界部では、引きずり込まれた大陸プレートが戻ろうとする動きによってプレート境界型の巨大地震が発生します。東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震がこの例で、近い将来の発生が懸念されている南海トラフ巨大地震も同じタイプです。

 海洋プレートが大陸プレートを押し込む力は内陸側にも伝わり、この力が日本列島各地で地震を発生させます。プレート境界型地震と区別して内陸型地震と呼ばれます。プレート境界以外で発生する地震は特殊なものを除いて内陸型地震です。

島根県の地震

 島根県は比較的地震被害が少ない地域です。地震保険の掛け金は県別に違っていて、島根県はリスクが少ないことから最も安いランクになっています。

 しかし、2026年1月にも島根県東部を震源とするM6.4の地震が被害をもたらし、2018年4月に大田市を襲ったM6.3の地震もまだ記憶に新しいところです。この2つの地震の震源域は、島根県の「地震の巣」とも言える場所で、数十年間隔でM6クラスの地震が発生して被害をもたらしています。

 歴史的にはさらに大きな地震が発生しており、1872年の浜田地震はM7.1程度と推定され、浜田市を中心に大きな被害があり、三瓶山周辺でも池田の浄善寺が地滑りで崩壊するなどの被害が発生した記録があります。これは近代日本を最初に襲った大地震でもあります。

 さらに古くは880年に出雲地方に大きな被害をもたらした地震が文献の記録にあり、その震源域は島根県東部と推定されています。M7クラスと推定され、松江市ではこの地震によるとみられる液状化現象の痕跡が見つかっています。

 島根県はプレート境界から離れているので、南海トラフ巨大地震に対する危機感は少ないかも知れません。東南海連動型という広い範囲が震源域となる巨大地震が発生した場合、島根県の震度は5以上と予想されており、侮ることはできない規模の揺れです。過去の南海地震、東南海地震で被害を受けた記録があり、1854年の安政南海地震では出雲で多くの家屋が倒壊しています。1944年と1946年の地震でもかなりの被害があったようですが、戦時中の情報統制と戦後の混乱で記録があまり残っていません。

 太平洋沿岸はプレート境界型の地震によって津波に襲われることが多く、地震以上の被害を生じさせることが少なくありません。日本海は対馬海峡、津軽海峡が狭いために太平洋側で発生した津波はかなり減衰されて被害をだすことはほぼありません。しかし、日本海側の海域で大きな地震が発生すると津波を伴うことがあり、2024年の能登半島地震では最大3m程度の津波が発生しました。

 

火山と地震

 活火山の近くで大きな地震があると、火山活動への影響について気象庁や研究機関が発表することがあります。地震によって火山噴火が引き起こされたと推定される事例もありますが、関係性があると言えるほどの確率ではなく、直接的には関係ないようです。

 一方で、断層帯に火山がある事例は多く、三瓶山周辺も中規模な地震が南北に並ぶ見えない断層帯です。地震によって岩盤が破壊された部分に沿ってマグマが上昇して火山を形成した可能性があります。

 大地のひずみとは別に、マグマの動きによる火山性の地震もあり、これは火山の活動状況を知る重要な手がかりになります。火山と地震の間には直接的な関係はないと言いながらも、無縁ではないのです。

カテゴリー 教室
日時 –
会場 三瓶青少年交流の家
定員 20名
料金 無料
備考 web配信なし