
月イチガク① 石見の銀銅山Ⅱ ~世界への起点・都茂~
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島根県で最も長い歴史を持つ金属鉱山の都茂鉱山を、石見銀山の発見と成功の起点となった鉱山としての視点で紹介します。
かつては都茂銅山と呼ばれ、銀山として石見の銀生産を支えた時代もあったこの鉱山は、9世紀にはすでに採掘が行われていました。謎に包まれたままの石見銀山発見前史の鍵を握る最も重要な鉱山のひとつである都茂鉱山について、当館の中村が紹介します。
月イチガク② 海のたたら山のたたら ~田儀桜井家が経営した鉄山~
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出雲市多伎町を流れる田儀川の支流、宮本川に沿って道を進むと、幾段もの石垣が連なる空間が現れます。
ここは田儀桜井家製鉄遺跡の中核、たたらとそれに関わる人々が暮らした山内の跡です。
田儀桜井家は宮本のたたらを中心に、山は三瓶山の山麓から田儀川河口の越堂たたらまで広く経営しました。
海岸に近い越堂たたらは海運で材料を運び、出荷する「コンビナート」方式で、奥出雲のたたらとは一線を画し、石見のたたらとの共通点がみられます。
この製鉄遺跡の発掘調査を行っている出雲市教育委員会の幡中光輔さんに田儀桜井家関連のたたらについて教えていただきます。
月イチガク③ 山を撮る ~三瓶山、そして大山隠岐国立公園~
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山陰の自然風景を追い続け、写真集「三瓶山」をはじめ、「隠岐絶景」、「大山絶景」を上梓された写真家、佐々木俊和さんにお話をうかがいます。
レンズを通して見た三瓶山や大山の魅力、光が織りなす一瞬の風景を待ち続けること、暗闇の山、豪雪の山でカメラを構えることなど、1枚の作品の裏にあるストーリーをお楽しみに。
月イチガク④ まぶCool !! ~天然冷気で酷暑に喝!~
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夏の暑い日、石見銀山の間歩からは一瞬で暑さを忘れさせてくれる冷気が吹き出しています。
自然の作用で冷たくなった空気。この仕組みを暮らしの中に取り入れることができないでしょうか。
天然の冷気や地熱を使うシステムには実用化されているものもあり、工夫次第でエネルギーを節約しながら涼しさや暖かさを得ることができるそうです。
そんなお話をエコサポしまねの葭矢崇司さんにうかがいます。
月イチガク⑤ 三瓶に砲声響いた頃 ~三瓶原演習場と農民道場~
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80年前の8月15日。太平洋戦争が終わったこの日は、三瓶山にとっても歴史の大きな区切りの日でした。
明治時代から帝国陸軍の演習場として使われた三瓶山は、砲撃の音、突撃の合図がこだまする場所でした。
浜田、広島、松江などの連隊が演習に訪れ、若い兵士にとってきつく辛い思いでの土地でもあったと聞きます。
現在の三瓶山は穏やかで、演習地時代の記憶も遠いものになりかけています。それでも各所に演習地時代の面影が残り、その歴史は今の景観にも少なからず影響しています。
三瓶山が演習場に選ばれた理由は日本が進出を目指した北東アジアの地形に似ていることでしたが、この地には開拓団として大陸に向かう若者を育成する施設もありました。
これまであまり語られることがなかった三瓶山の歴史を、当館の中村が紹介します。
月イチガク⑥ 墓場放浪記in温泉津 ~湊から出る石・入る石~
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墓場放浪記第3弾は温泉津でのフィールドワーク。
温泉津は銀山の港として栄え、北前船の寄港地として再び栄えた町。そして、町中の至る所に石切の跡が残る石の町。
この町で墓を訪ね歩くと地元の石と船で運ばれた遠方の石が混じり、この土地の歴史が見えてきます。
案内人は石塔のスペシャリスト、島根県古代文化センターの間野大丞さんと当館の中村です。
月イチガク⑦ おおだの祭りⅡ ~グロと仮屋と海山の祈り~
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大田市五十猛町の大浦で受け継がれる伝統の正月行事「グロ」や、大田市内各地に残る仮屋行事。
これらは古来、人々が1年の安寧と海山の恵みを祈ってきた祭りで、共通する部分もありながら、異なる形に分化してきたものかも知れません。
そのような、大田独特の祭りの歴史と今を、山陰民俗学会の多田房明さんに紹介していただきます。
月イチガク⑧ おとめ石 ~来待石今昔~
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宍道湖南岸の松江市玉湯町から来待町で採れる「来待石」はさまざまな石造物に使われる石材。
江戸時代には松江藩が流通を管理する「御止(おとめ)石」として、石の生産加工と流通は藩の財政を支える大切な産業のひとつでした。
この石にはどのような特徴があり、どこで使われたのかを、来待ストーンミュージアムの古川寛子さんにうかがいます。
月イチガク⑨ 長崎シュガーロード ~銀の道から始まる物語~
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ヨーロッパの交易船が長崎に伝えた砂糖は日本の食文化に大きな影響をもたらし、砂糖が運ばれた長崎から小倉(福岡県北九州市)までの道は「シュガーロード」として関連する文化とともに日本遺産に認定されています。
カステラや金平糖など砂糖をふんだんに使ったお菓子を最初に伝えたのはポルトガル人でした。
彼らが九州へやってくるようになったきっかけは石見銀山。当時は高価だった砂糖が大量に日本に入るようになったのは銀のパワーで、銀の道と砂糖の道がつながっていたのです。
そのシュガーロードについて、長崎シュガーロード連絡協議会の方に紹介していただきます。
石見銀山発見500年(2027年)に向けて、石見銀山が日本の歴史文化に残した足跡をふり返る機会にしたいと思います。
月イチガク⑩ 波根に水海ありけり ~消えた湖の記憶~
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大田市東部の海岸沿いに平らな水田地帯が広がります。
ここは国内で最初の近代型干拓によって消えた湖「波根湖」の跡です。
この波根湖は興味深い大地の歴史を秘めており、港として使われた歴史、そして苦労の末に干拓して水田に変わった歴史があります。
その歴史を当館の中村が紹介します。
月イチガク⑪ くにびき神話の地質学 ~悠久の時と三瓶山~
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国来(くにこ)、国来と声を上げて力を込め、綱を引いた出雲の神「ヤツカミズオミツ」。
海の彼方から引き寄せた国の余りを三瓶山を杭にして留め、出雲国を大きくしつらえた。
その舞台である島根半島、出雲平野、三瓶山には、出雲国風土記が伝えるくにびき神話を彷彿とさせる大地の歴史があります。
三瓶山の火山活動とも関わる大地の物語を、当館の中村が紹介します。
月イチガク⑫ なんだ? このアナ ~温泉津海岸のナゾ~
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温泉津海岸でフィールドワーク。
テレビ番組「なんだコレ!? ミステリー」でコカドケンタロウさんが訪ねたプールのような謎の穴、「テレポート山陰」で紹介された丸く深い「一つ目小僧」のふたつを訪れます。
案内人は当館の中村です。