2010年8月号
大田の あがなもん こがなもん「松代鉱山の霰石」
大田市の国指定天然記念物は、これまでに掲載してきた「三瓶自然林」「波根西の桂化木」と当公園「三瓶小豆原埋没林」に加え「松代鉱山の霰石産地」があります。
松代鉱山産の霰石は、断面が菊の花のように見える六角柱状の結晶が寄り集まった団塊として産出し、塊は直径5~10cmのものが多く、直径30cmを超える大型のものも産出しました。
アラレ石は鉱物として珍しいものではなく、貝殻もこの鉱物の微細な結晶の集合体です。
ところが、松代鉱山のように塊状で産するものは世界的にも珍しいことから、産出地が国の天然記念物に指定されています。
松代鉱山は明治34年に石こう鉱山として採掘が始まった鉱山で、昭和40年代まで稼働していました。
霰石は石こう鉱床の上下に分布する粘土化した火砕岩中から掘り出されましたが、利用価値がない「邪魔者」で、鉱山稼働時は排土として処理されていたそうです。
現在、霰石を産した坑道を見ることはできず、現地に案内板などもない状態です。その希少性から鉱物コレクターの間では世界的に知られる存在で、国立科学博物館など大きな博物館には必ず標本が収蔵されているほどです。大田市の天然記念物では、三瓶小豆原埋没林に勝るとも劣らない貴重な存在といえるでしょう。
太古の森のこぼれ話「年輪を数える」
埋没林公園の展示棟のほぼ中央にそびえるスギの巨木。
「切り口で年輪を636本数えることができます。」と紹介すると、思いがけない質問が飛び出しました。
「あの高い場所でどうやって数えたの?」
そう、切り口の高さは床面から約8m。そこで年輪を数える姿を想像すると、足がすくみそうです。
正確には、年輪を数えたのはこの切り口ではなく、この部分を切って作った輪切りを数えたのです。
発掘時に年輪などの調査を行う目的で、輪切りを作成しておいたという次第。
このスギは1983年の工事中に出土した際に、上部を切り取られていたので、その切り残し部分から輪切りを作ったのです。
輪切りは奈良文化財研究所に送られ、年輪一本一本の幅を測定しながら計測されました。幅のデータは、「年輪年代法」に用いる基礎データになります。
この木の年輪は、約4600年前から約4000年前までの約600年分の年輪データとなります。
この木の他にも、数本の年輪が計測され、データ化されています。
年輪データがまだ得られていない時代があるので、現時点では年輪年代法でこの木が生きていた年を知ることはできませんが、いずれデータがつながれば、様々な年代を知る手がかりが得られることになります。例えば、縄文時代に使われた丸木船が今から何年前に切られた木で作られたものかをはっきり特定できる可能性があります。埋没林の年輪から、太古の歴史を解き明かす大発見があるかも知れませんね。
波根海岸の海上ツアー始まる
大田市波根海岸で海上ツアーが始まりました。
波根旅館組合が企画したこのツアーは、伝馬船からみる絶壁と洞窟の眺めに加えて、港での漁師料理が魅力です。
波根海岸は絶壁の風景が特徴です。濃淡が明瞭な地層がくっきりと見える絶壁の岬の先には、立神島という島があり、その岩肌は国道9号線からみることができます。
ツアーは波根漁港から出発。港を出るとすぐに立神島が迫ります。
島を回り込みながら断崖に近づくと、陸からの印象よりもはるかに高い絶壁に圧倒されるに違いありません。
岬の外海側には洞窟がいくつも並びます。コウモリ穴と呼ばれる洞窟にはその名のとおり多数のコウモリが生息しています。
気象条件が良ければ船で中に入ることができ、飛び交うコウモリを目撃できるかも知れません。
洞窟のうちのひとつは、一番奥まで入った人がいないというほど深く、地元では「三瓶山につながっている」といわれているのだとか。
また、くぐり抜けができる洞窟もあり、海と岩がおりなす景観を存分に楽しむことができます。
港へ帰ると漁師料理が待っています。とれたての魚をその場でさばいて作る料理の味は最高の贅沢。
何の気取りもなく、漁港にござを敷いて味わうのもこのツアーの魅力です。
波根旅館街では、魚を使ったすき焼き風郷土料理「へかやき」や夏の夜は浜焼き(浜辺で海産物をバーベキュー)もあります。
また、海水浴を兼ねた宿泊にも最適。
海あり、山ありが大田市の特徴。波根旅館に泊まって海を満喫したあと、三瓶山や石見銀山へ足をのばす楽しみ方もありですね。
【海上ツアーについて】
9月中旬まで催行予定。
大人3000円、こども1000円。
申込みは波根旅館組合090-6834-480(3日前までに予約を)。
大田の美味しいお店「西の原レストハウス」
男三瓶、子三瓶をしたがえて、ゆったりとスロープを描く西の原草原。
三瓶山を代表する景色を正面に望む最高の場所に立地するレストランが「西の原レストハウス」です。
店内からも西の原の景観を望むことができる作りになっています。
高原のレストランというロケーションに対し、店内のレイアウトやメニューは「町の食堂」的な気楽な雰囲気で、そばセットやカツ丼が人気。
ご家族や団体での旅行には、地元産の旬の食材を使った定食がおすすめ。地元産の旬の食材を使い、値段も1000円から希望に応じて対応可能。ただし、5日前までの予約が必要です。
【営業時間】
平日 10:30~16:00
土、日 10:00~16:30
定休日 水曜日(7月22日~8月31日は無休)
収容人数 テーブル席56名 座敷30名
駐車場 西の原駐車場利用可(店内へはスロープあり)
住 所 大田市三瓶町池田3294
TEL 0854-83-2053