「山くじら」ブランドで地域を盛り上げる!!安田さん(2)
―イノシシ肉はちょっと臭いイメージがあります
「臭い」「まずい」が皆さんのイメージだと思います(笑)。
もちろん独特なイノシシの肉の味わいはありますが、本当は臭みがないのです。
要は処理の仕方や劣化する速度の問題です。血抜きがしっかり行われてなかったり、夏場は気温が高いため、タンパク質(肉)の腐敗が早くなります。
その肉を食べたら、臭くてまずいはずです。
美郷町のイノシシは檻を使った箱罠なので、生け捕りしてしっかり処理を施して精肉にしています。
夏場のイノシシの肉は高タンパク低脂肪!とってもヘルシーですよ。
―しっかり処理をしているのなら食べて安心安全ですね!
イノシシ肉を資源活用するために、駆除班の有志の方から出資金を募り、平成16年に「山くじら生産者組合」を立ち上げ、解体処理場をつくりました。
そして、山くじらを軸に「地域づくり」も行おうと、学校給食へ食材供給や山くじら弁当も手がけています。そうすると、どこからかウワサを聞きつけた東京の有名ホテルから声がかかり、山くじらを提供することにもなりました。ほかにはイノシシの骨を使ったペットフードの活用にも協力しました。
―缶詰もあるんですか? かわいいパッケージですね!
精肉は缶詰にもしていますよ。ポトフやスパイス煮込みなど、無添加、無着色、一つずつ手作業で調理しています。
また町内のお母さんたちが惣菜を作っています。コロッケやミートボールなど、とってもおいしいですよ。残ったものは家畜の飼料となっています。
そして毎週水曜日の早朝には「青空サロン市場」が開催されます。
これはイノシシから畑を守った農家の方々が野菜を持ち寄り販売したり、お茶や菓子を囲んで楽しくおしゃべりする憩いの場となっています。もしかしたら、美郷町で一番にぎわっている日かもしれません(笑)。
―「山くじら」には、地域の人たちがたくさん関わっているのですね。
潤うほどの利益は出ないのですが、地域の皆さんの生きがい、活動の柱となっています。
最近は子どもたちが夏の自由研究で山くじらのことを発表するようです。
〝この町の魅力はなんだろう?〟と考えたときに、ノウハウを蓄積することだと思いました。
生活に密着していて、暮らしの負の部分を解決する!そのノウハウを貯蓄していけば、山の中での暮らしが豊かになり、ここへ人が来てくれると思います。
地域の方が元気で、暮らしやすいことが役場職員としての一番うれしいことです。
―これからの展望はありますか?
これからはイノシシとの闘いではなく(笑)、人口減少との闘いです!
それを考えた上での、被害対策や資源活動を行わなければいけません。
一つの方法は「山くじら」事業の広域化。この組織や機能をもっと周りの町に当てはめていきたいです。
もう一つは、缶詰工場の集落を中心にして、ものづくりを強化していくことです。それが、町の人たちにとっての冬場の恵みとなればいいと思います。
****安田さんとお話した感想****
「ジビエをただのブームにしてしまうと思わぬ落とし穴があり、置き去りにしていることがたくさんある。資源には限りがあるんです!」と熱く語る安田さん。スーパー役場職員は、常に町民のことを考えながら、考えアクションを起こし、町に出歩いている様子。〝事件は現場で起きている!〟と昔あったドラマを思い出した取材でした(笑)。
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