暮らしがもっと楽しくなる、美味しい食材に出会う旅へ!Sunday Market CiBO 板倉さん
毎月第4日曜の朝9時。出雲市役所裏の広々とした芝生公園「出雲だんだん広場」にテントがいくつも並ぶ「Sunday Market CiBO(サンデーマーケットチーボ)」。
生産者が直接販売する新鮮な野菜、地元食材を使った料理、こだわりのパン、珈琲など、食卓を彩るものが集まる今や人気のファーマーズマーケットです。
地元はもとより、広島、山口から訪れる人も多いこのマーケットを運営するグループの主催者の一人で、東京と出雲でイタリア料理教室「effe-co.」を開いている板倉布左子(いたくら ふさこ)さんにこだわりの食材やスローフードの魅力を伺いました。
―幼い子供を連れたファミリー、友人同士、愛犬と一緒に、あるいは一人気ままに…皆さん、いい表情で楽しんでいらっしゃいますね。
Sunday Market CiBOはどういうきっかけで、いつから始まったのですか。
以前イタリアに住んでいた頃、平日の午前中に生産者が直接販売する“メルカート”という青空市場がありました。野菜や果物、加工食品、パン、卵、花など、毎日の食卓に欠かせないものが集まり、たくさんの人で賑わいます。
私はそこで四季の移り変わり、旬の素材の味と香りを味わう楽しさを教えてもらい、さらに料理が楽しくなったんです。
思えばイタリアでの私の料理時間の背景に、いつもメルカートがありました。
いつか出雲でも作れたら・・と思っていたところ、アメリカのファーマーズマーケットなど、海外の市場の楽しさを経験している仲間と出会い、5人のメンバーと一緒に2017年に出雲市駅前の店舗駐車場で12~3店舗からスタートしました。
2020年から出雲だんだん広場に移って、今では約30店舗が出店しています。
―各地で朝市が増えていますが、CiBOにはのぼり旗や看板はなく、統一感のあるシンプルなテント。
メニューは黒板に。梱包されずそのまま木箱に置かれた野菜もナチュラルでお洒落な雰囲気がありますね。
ここは何のお店かな?と近くに行くことで、新しい人、物との出会いを楽しんで欲しくて、店舗の配置マップはおいていません。
また、会場にはあえてごみ箱も置いていません。
―ごみ箱がなくても、周りにごみはひとつも落ちて無いですね。マイバッグはもちろん、マイ箸や器も持参なさっている方も多いです。
器を持参の場合は店舗によって少しお安くなったりするんですね。
お気に入りのマイ箸、マイ皿、マイグラスのご持参ウェルカムです!
出店者が提供している器も出来るだけ再生可能素材のものを使用するようお願いしております。
そのときのゴミはもちろん、購入店舗にお戻ししていただいて大丈夫です!
ちょっと手間がかかるのですが、この手間がゴミについて考えるきっかけになったらいいなと。
CiBOを通じて、ゴミは減らせること、そのことが環境へ優しい生活になっていることを感じてもらえたらなと思っています。
―9時のオープン前なのにすでに長い行列が出来ているテントもありますが、みなさんお目当てのお店があるんですね。
ここでしか買えないというものがたくさんありますが、それ以上に、お店の食材や商品の話をきけたり、美味しい食べ方や調理方法を教わることができたりといった、生産者さんとの会話を楽しみにしてくださっているのではないかなと思います。
―飲食店や加工品はその月や旬によって違う出店もあるようですね。
出店についてはSNSでお知らせしています。
出雲市内に限らず、島根県内外で出来るだけ自然に負荷を与えない作り方で、愛情をもって生産されていて、食卓を楽しくしたいという思いをもった飲食店、加工品のお店に出店していただいています。
―こだわりのある方の出店が多いので満足度が高いです!特に地産地消の食材は人気の的ですよね。
今月はどんな出店があるか、新しい出会いも楽しみ。毎回参加したくなります。
毎回、朝9時スタートの30分前に出店者、スタッフが集まって、マイカップで珈琲を飲みながら今日のおすすめ、業務連絡を共有します。
お互いが他店舗の情報を知っておくことで、それぞれのお客さんとの会話でも役立つかなと思っています。
出店者にとってもお客様とのコミュニケーションが、日々の生産の励みになるんです。
―自分のことだけでなく、丁寧につくられたものの良さを共有して伝える。支え合い、助け合うのは素敵ですね。こちらの心も豊かになります。
だから、お買い物するだけでなく、この場をゆっくりと楽しんでいらっしゃる方も多いのですね。
CiBO とはイタリア語で「食」のこと。
生産者の思いを知って買った食材は、暮らしや料理の時間をより楽しくすると思います。
すると、できた料理にも愛着が湧いて、きっと美味しく大切に食べたくなる。
それが結果的に、フードロスや環境の大切さを考えるきっかけにもなればとも思います。
―板倉さんはイタリア、出雲、東京の3拠点で活動されていますが、イタリアのどんなところに魅了されたのでしょう。
学生の頃から料理に興味があり、食べる事が大好き。
大学卒業後は東京の雑誌社に入社し、ライターと一緒に色んな飲食店を回りながら料理の専門知識に触れました。
その中で、一番好きだと思った料理がイタリア料理だったんです。
もっと知りたい!とにかく現地で料理を見て食べたい!と思い、イタリアの料理学校に入りました。
そして、生活の中でイタリアといっても地方によって特色があり、とても地域愛が強いこと。
料理はとてもシンプルで、素材が持つ味を味わえ、調理方法も手軽なものが多く自宅でも再現しやすいことなど魅力を知りました。