思いが彩る世界に一つだけのもの。皆が自分らしく暮らせる地域へ 彩き織PLUS 郷原さん
私たちの社会は、子ども、お年寄り、病気や障がいのある方、海外からきた方など、さまざまな人で構成されています。
どんな人でも安心して健康に自分らしく暮らせる持続可能な社会は、どのようにしたらつくれるのでしょうか?
障がいのある方が作った素敵なバッグや美味しいパンを販売している「彩き織PLUS」(社会福祉法人 銀の鳩はとぽっぽ)の郷原和美さんに、日々の取り組みへの思いを聞きました。
-きれいなバッグ!いろいろな色が複雑に混じっていて、独特な質感。
ポーチ、ブローチ、キーケース、みんな模様も色も違う…これはどうやって作っているんですか?
着物をほどいて生地を細かく裂いたものをよこ糸に使い、織機で一列一列丁寧に織り込む「裂き織り」という技法で作っているんですよ。
着る機会がなくなった着物を素材にしています。使う色や織る時の加減によって完成する生地の色・模様が変わり、同じものは一つとしてありません。
-お店にはパンやシフォンケーキ、ラスクなどもあるんですね。どれもおいしいそう。おや、お名前のラベルが貼ってあるものも…
これらも、この奥の工房で作っています。
パンのラベルにある名前は考案者のもの。パン作りに熱心でアイディア豊富な作り手がいて、いろいろな新作に挑戦しています。
好評につきレギュラーメニューになったものもあるんですよ!
-あったかい品が手に入るお店なんですね。「裂き織り」の材料はどうやって集めているんですか?
地元の方を中心に、いろいろな方が届けてくださるんです。
「もう誰も着ないけど、古着としても使えなさそう。でも思い出があり捨てるのはもったいない」「ごみにするのは忍びないから役立ててほしい」と言ってくださる方が多くて助かります。
-捨てずに可愛く生まれ変わる、ステキなアップサイクルです! 破棄を減らすことで、焼却するときに出るCO2も減らせるし!裂き織りはエシカルなファッションアイテムだったんですね。
「役に立てて嬉しい」と言ってもらえて、こちらもありがたいです。
裂き織りの布は1枚が10〜11m。織り手によりますが、仕上がりまで1〜2ヶ月かかります。
織りあがったものの色合いや質感を活かして、職員がバッグや小物などに縫製します。
その際、どうしてもハギレが出てしまうのですが、コースターや小物の材料にして無駄がないようにしています。
ハギレをパッチワークにした「HAGIHAGI」シリーズのバッグやリュックは、ふるさと納税の返礼品として大田市から指名されました。
アップサイクルと言えば、市内の施設やお寺などで使われたローソクで作る「和菓子ローソク」も可愛くて人気です。
お客様の前には出せないけど、捨てるには勿体ない長さのローソクを溶かして作っています。
-着物のリメイク品ってシニア世代のマダム向けなイメージがあったけど、どれもナチュラルなデザインで普段使いできそう。
若い世代の職員の意見も取り入れたり、商品を置かせてもらっているお店での売れ行きを踏まえてデザインしたり、挑戦を続けています。
最近HPもリニューアルしました。
みなさんに「欲しい」と思ってもらえるように試行錯誤しています。
-着物を提供した人もあったかい気持ちになれるでしょうね。こんなに美しい織物に生まれ変わるなら、自分用に特別に作ってほしい人もいるのでは?
はい、オーダーメイドも対応しています。「亡くなったお母さんの着物でお父さんのために何か作ってほしい」と娘さんが来てくれた時は、長く身につけて貰えるようネクタイを作りました。
ご依頼から新しいものに挑戦することもあり、そこから新しいアイテムが生まれています。