チャレンジできる図書館に「いかあや!」 西ノ島コミュニティ図書館 橋元さん(2)

2020.01.17


―なぜ司書を目指すようになったんですか?

 

 

大阪に住んでいたとき、お家のこと、社会でのこといろんなことが重なって、ずっと溜めてた悩みが一気にのしかかってきたことがあります。
 

気持ちが塞いで閉じこもり気味になっていた時、地域の方に勧めてもらって、図書館の本の修理をボランティアでさせてもらったんですね。
 

そのうち、いろんな人に「司書資格を取ってみたら?あなたに図書館合ってるんじゃない?」って言われて。
そんなもんかなあ…と思ったんですが、他にやりたいこともなかったので、ちょっと勉強してみるかと思いたち、まず司書補の資格を取りました。
 

そこからですね。なので、司書人生はまだスタートしたばかり。西ノ島と同じくご縁のおかげです。

 

 

―これから、どんな図書館になって欲しいですか?

 

兵庫県の伊丹市に、「ことば蔵」っていう市立図書館があるんですけど、そこの市民講座がすごく充実していて。
市民の方が自分で企画してそれを市民同士でブラッシュアップして講座を実現しているんです。

そういう『チャレンジできる図書館』っていうのがいいですね。
 

島には、アワビの殻でクラフトを作ったり、素敵なアートフラワーやハンドメイドの鞄を作られる方がいます。
西ノ島の方は、ちょっとシャイな方が多いですが、すごく切り絵の上手な方、独学で鉛筆画を描かれる方がいるんですよ。
 

「すごい!独学でここまで描けるようになるのか!」って驚きます。
今その作品を展示しているので、よかったら後で観て帰ってください。

 

 

この前「夜中にトンネルを抜けてフッと視界が開けた時、図書館の灯りが見えてホッとする」と町の人が言っていました。
 

文字通り町を明るくしています。嬉しいですね。

 

 

 ―西ノ島での生活はどうですか?

 

私は一人住まいですが、「おすそわけ」はありがたいです!
 

はじめの頃、世の中にはこんなに親切にしてくれる人がいるんだ!と思いましたね。
こんなにもらっていいんだろうか…て申し訳なくなるぐらい。
 

押し付け感もないし、やってあげてるんだからみたいな感じでもない。
「余っただけだから」と軽やかな島の親切、そういうのがすごい素敵ですよね。西ノ島はあたたかいです。

 

この間もご近所さんにタコをもらいました。「晩御飯にしたらいいよ~」て、とても太い足を一本。
それから、ここに来て「サザエを食べ飽きることがあるんだ…っ」と実感しました。
それぐらい沢山もらうんですよ。(笑)

 

 

―素敵です!否応なく料理も上達しますね。

 

サザエをツボから出すのも上手くなりましたし、魚もチャチャ―っとさばきます。
暮らしの様子を見にきた親がびっくりするぐらい。慣れですかね。
 

確かに休みの日はもらったものを料理する時間が長いかもしれない。
秋には栗をいっぱいもらって、それを下ごしらえするのに丸一日かかったりしてます。
 

とても生活感がある贅沢な時間だと思います(笑)

 

 

―島のなかで、橋元さんのお気に入りはどんなところですか?


 

私は育ったのが大阪の北摂の方で、山がすごく身近にあって、ベッドタウンとはいえ割と自然の多いところでした。

両親は九州の田舎出身だったのでよく家族旅行でキャンプに行きましたね。
 

こっちでもちょっと時間があれば行くのは『国賀海岸(くにがかいがん)』です。
初めて行ったとき、「ああ、地球に住んでるんだ、私は」みたいな感覚でした。
 

島には『焼火神社(たくひじんじゃ)』っていうのがあるんですけど。

 

 

―超パワースポットですね!

 

そう、こっちに来たばっかりの頃に、家族で上がったんですけど、久しぶりに上がってみたらこんなに気持ち良かったかなと思うくらい!
 

海がふゎ~って一望できる場所があってすごく良かったですね。

 

 

―西ノ島の豊かな自然のなかで、橋元さんが「残したい!」と思うものはありますか?


 

鳥の声です!トンビもすごく多いですし、季節になったら鶯とか、ホトトギスも啼いてます。
 

島ではずっと鳥が啼いてるんです。声が聞こえない日はないんですけど、大阪だとカラスとかスズメも最近聞かないかもしれない。西ノ島の浦郷地区のカラスは本当に「うらごぉ」って鳴くんですよ(笑)
 

あとは海の色が好きです。日によって違って、冬でも日差しがある日は青緑に光っていたり。
かと言って海ばかりじゃなく、西ノ島は山もあって。
 

5月くらいに車の窓を開けたら、緑の匂いがふわぁっと入ってきて、育った土地の山を思い出しました。

 

 

西ノ島に日本で初めて岩ガキの養殖に成功された中上光さんという方がいて、お話を伺ったときに「西ノ島にはいい入り江があって、栄養豊富な山から栄養が海に流れてるんだ」って仰っていて、山と海両方あって西ノ島は作られているんだなと思ったことがあります。
 

でも、海のごみはやっぱり多いですね。国賀海岸行った時も感じました。
難しいですけど、私たちが克服しなければいけない大きな課題です。

 

 

―西ノ島らしい何か課題はありますか?


 
中・高生たち、「いずれは帰って来たい」と言う子が多いですけど、やっぱりそれでも外に出ちゃう子は多いので「選択肢の少なさ」っていうのはあるのかな。
 

私は図書館の仕事があったから来れましたけど、島で働くとなると…あんまりないですよね。
就ける機会の少なさという課題はあるのかな。

 


来年は司書資格の講習を受けられるようになります。2〜3ヶ月かかるけどなんとか行きたいなと思っています。
 

また、一旦島を離れてみたいという気持ちもあって。
ずっとここにいると、利用者さんとしての視点が自分の中からどんどんなくなっている気がして心配なんです。

 

改めて利用者としてこの図書館を見たら、きっと、「もっとこうしたらいいのに」、「もっとこういうのがあったらいいのにな」って、多分思いつくんですよね。
だから、一旦離れることも視野に入れています。

 

 

大阪とかにいると、選択肢がありすぎて困るっていうこともあるけど、無さ過ぎても、何もできないってなっちゃうんで・・・、難しいですね。
 

でもだからこそ、図書館は「世界を広げる場所」であり、長い人生の中で起こる「選ぶ力」をつける場所でもあると思うんです。
 

今、島から出ても島に関わり続ける「関係人口」を増やすことがとても大切なんだと思います。
 

世界のどんな場所にいても、大好きな地域と関わり続ける方法は沢山あります。
 

この、家のような『いかあ屋』が沢山の縁を結び、広げていく起点になれば私は本当に嬉しいです。

 

 

 

【橋元さんイチ推し!今日からできる楽しいプチエコ】

 私はペットボトルをなるべく貯めないようにしたいので、マイボトルを持ち歩くようにしています。
あとは洗濯用洗剤や柔軟剤の匂いが苦手な方は、マグネシウムで作られている洗濯用品を使ってみてください。
匂いも気にならないし、節水にもなっていいですよ。

 

*橋元さんとお話しした感想*

「沢山の方にいかあ屋を知って欲しい!」と奮起して取材を受けてくださった橋元さん。
西ノ島町に来てまだ半年というのに、すっかり町と島人に溶け込んでいるのは、自然味あふれる人柄ゆえ。

私たちもすっかり西ノ島と「いかあ屋」のファンになってしまいました!

 

 

   

 

 

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