「蜂から始めるエシカルの輪」持続可能な養蜂を目指す空水土(クーミード)石田さん

2020.12.24

 


はちみつ好きが選ぶ、最も美味しいはちみつコンテスト「ハニー・オブ・ザ・イヤー」で2年連続入賞した空水土さんのはちみつ。副代表を務める石田樹理さんに、養蜂を通じて故郷の益田市や未来への思いを伺いました。

 


―わぁ!キレイな色をしてますね。これは何ですか?


これはミツバチたちのお家です。

ミツバチは、蜜蝋(ミツロウ)という物質を分泌して巣を作るんです。

これ本当は、「無駄巣」と言って巣枠の外にできてしまったもので、私たち養蜂家の怠慢というか…管理不足でミツバチたちに無駄に作らせてしまった巣の一部なんですけどね。

 

 

太陽に透かせてみると面白いんですよ。六角形の巣穴が両面にびっしりと敷き詰まっています。裏表面でフレームがズレているのが見えますか?六角形って、連続させやすくて強度も高い形状なんですけど、さらに高めるために裏表で少しズラしてあるんです。







―すごいですね。なぜこんなことができるんですかね?


え〜っと…、それはわかりませんけど(笑)、自然とこんなことができちゃうミツバチって天才なんですよ。

簡単なマークや1・2・3くらいだったら数も認識できるみたいです。そこの小屋にある巣箱にも、ミツバチたちが自分の巣箱をわかるようそれぞれに印をつけています。

 

 

仲間同士のコミュニケーションも上手にとりますよ!きっと今も「なんか人が来たぞ」と私達のことを話してると思います。
そんなミツバチたちが一生懸命に集めた蜜を分けて貰っているのが、私たち養蜂家です。

 


―どうして石田さんは養蜂家になったんですか?


きっかけは、父がセミリタイアして養蜂を始めたことです。
環境が良かったのか、美味しいはちみつが採れました。


最初は大きなはちみつ屋さんに卸ろし、他のハチミツとブレンドされて売られましたが、食べてびっくり「あんなに美味しかったのに、雑味が増えてる!なにこれ!」って。

 

それぞれの特徴が混ざり合ってバランスが悪くなるんですよね。
それで、父のおいしいはちみつをそのままお客さまに届けたくて、自分たちで屋号とパッケージを作って販売したいと思うようになりました。


父は初め、「知り合いに分けられればそれでいい。儲けるためにやってるんじゃない」ってすごく嫌がっていました。


それでも、美味しいものの価値をちゃんと伝えたいからと相談し、父から「作ったものは地元で消費して欲しい。都会のデパートで販売する様なものではないし、ネット通販もしたくない。それが守れるなら一緒にやろう」と言われ、約束して私もこの道に入りました。

 

その時に、私たちの取り組みを表す言葉や想いに合う表現を探していて、 “エシカル”という言葉が一番ピンときたんです。

 


―最近、“エシカル”という言葉をよく耳にしますが、少し詳しく教えていただけますか?

「蜂から始めるエシカルの輪」って言葉を屋号と組み合わせているんですが、 “エシカル”とは、「倫理的に」とか「道徳的に」っていう形容詞のことで、例えば「養蜂家として倫理的に正しく行動する」こととは何か考えると、この益田の景観が未来へずっと続いていく様に、自然を壊すような、環境に負荷をかける養蜂や農業をしないことが大切だと思っています。

 

 

―なるほど!地元の自然環境や未来のことを考えると、自ずと今の行動を意識せずにはいられないということですね。

蜂に関わる様になって初めの頃に、昆虫に詳しい知り合いが島根に来ました。「どうでした島根?」って聞いてみたんです。
こっちが待ってる返事って「すごい自然豊かだったよ!」とかじゃないですか?そうしたら「意外に虫が少なかった」って言われたんです。


それって農薬とかの影響なのかなって話してて、レイチェル・カーソンの『沈黙の春(※1)』って実は、身近なことなんだなと。
養蜂やるならそういったことも改めて意識してやらないといけないなって思いました。


※1:1962年に出版されたレイチェル・カーソンの著書。農薬などの化学物質の危険性を鳥達が鳴かなくなった春という出来事を通し訴えた作品。

 

 

―屋号の「空水土coup mead」というのもその様な考えから着想されたのでしょうか?


そうですね。空というか空気や水も土も全部生きていくためには欠かせないもの、残していかないとならないものです。

空を「クー」、水・土を「ミード」って読むと英語で「coup(蜂起)」、蜂という漢字が入り『何か起こして盛り上がる』という雰囲気を作ること。「mead」は『蜂蜜酒』のことで、いつか作ってみたいという想いがあって『空水土coup mead』と名付けました。

空水土としての取り組みはまだ数年ですが、ありがたいことに賞をいただいてからいろんな方に声をかけていただいたり、県のブランド推進課さんや他の生産者さんと繋がりができました。

 

 


正直言うと、若い頃は少し煩わしかった人付き合いですが「なんだ、温かいじゃん。島根いいじゃん!」って。益田には面白い人が沢山いる。改めて田舎の価値に気づけたのは、空水土として取り組み始めたからだと思います。

 

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