思い出いっぱいの場所で、未来に続く農業を創る!GEARFARM星野さん(2)

2021.01.18

 

-星野さんはどんなぶどうを作っているんですか?



祖父母の代から作り続けているのはデラウエアやシャインマスカット、ピオーネ。
僕の代からクイーンニーナも育てています。
 

粒がハート型になる新品種「マイハート」にも挑戦中!
時代のニーズに合わせていろいろな品種に挑戦できるのが面白いところです。
 

ぶどうの栽培は涼しい地域が適していて、特に夜の気温が色づきを左右します。
近年は地球温暖化がぶどう栽培に影響していると言われていて、熱帯夜の厳しさも身をもって感じます。
 

近い将来、高温でもよく育つ品種へ切り替えなければぶどう農家は生き残れないかもしれません。

 

 

-独自ブランドの「星のぶどう」、ブランド名も素敵ですね。



ありがとうございます。
従来のJA経由の出荷もしつつ、お客様にこだわりを感じてもらえる方法はないかと考え、ブランドを立ち上げました。
 

小規模経営なので収穫してすぐ発送でき、新鮮な状態でお届けできます。
オリジナルのリーフレットを同封し、農園の様子や三代の風土を感じながら食べてもらえるようにもしました。
 

作り手の顔が見えると、安心感や愛着を持ってもらえるようです。
リピーターや「贈り物に頂いたらすごくおいしかった」と注文される方も増えて嬉しい。
 

SNSで顧客を開拓したり、直接お客様の声を聞けたり、自分で価格を決められたり…。
自由とやりがいがあります!

 

 

-星野さんの農業、クリエイティブで魅力的です!



農業の魅力はチャレンジによって作られるはずです。
 

後継者不足は、「苦労が多い」「儲からない」などのマイナスイメージがクローズアップされてしまって、良い面が見えにくかったことが原因の一つだと思います。
 

負の面ばかりが広まったため、農業をやりたくない、継がせたくないという人が増えたのではないでしょうか。
 

三代では祖父母の代で50軒ほどあったぶどう農家が今は8軒に減っています…。
しかもうち以外は高齢の方ばかり。
 

農業は確かに大変な仕事。
でも、やり方によっては、その土地だから、その人だから作れるものが生み出せますし、新しいことを始められると思うんです。
 

僕は農業の魅力を再発見し、やりがいのある儲かる仕事として発信していきたいです。

 


-これから田舎に移住して、農業に関わりたい人が増えると思います。どんなことを伝えたいですか?

 

農業は苦労が多いですが、同時にやりがいや将来性もあります。
自分のライフスタイルや思想に合う作物を見つけて育てるのも楽しいですよ!
 

「田舎暮らしは人間関係が面倒」と先入観を抱く人も多いようですが、温かいつながりがあるのは田舎の良いところ。
農業も生活も一面だけではなく広い視野を持って、ぜひトータルに考えて欲しいです。

 

 

-「星のぶどう」がそのモデルになるといいですね。



そうなると嬉しいです。
今は買って食べてもらうだけでなく、いろいろな取り組みをしています。その一つがぶどう作りの体験。
 

お客様や近隣に住む方に声をかけて、花穂の手入れなどに参加してもらっています。
自分が世話をしたぶどうを収穫して食べられるので、とても喜ばれるんですよ。
作り手の日常に触れることで、普段の暮らしからは見えない農業の姿を学ぶ機会になればと思います。
 

また、加茂の小中学校の給食にぶどうを提供しています。
子供たちが大人になった時に地元の美味しい味を覚えていてくれたら良いな。
 

「GEAR FARAM」はおいしさ(Gusto)、楽しみ・喜び(Enjoyment)、豊かさ(Abundance)、信頼(Reliance)という、この農園の理念をもとにした名前。
 

この場所で農業を動かすギアになり、地域を愛する消費者と未来の農業従事者を育てたいと思っています。

 

 

-10年後の島根の農業はどうなっていると思いますか?



未来を考えると課題も沢山あります。
 

例えば、島根県で一番生産量が多い「デラウエア」の出荷量が年々減っていること。
ただでさえ農家自体が減っているところに高価な品種への切り替えが進んで、追い討ちをかけている状況です。
 

島根県は全国的に農業が強い県ではありませんが、ぶどうはある程度のシェアがあります。
特にデラウエアは、4〜6月ぐらいの早い時期に出荷されるものを中心に評価が高く、それがシャインマスカットやピオーネなど他の品種の取引にも繋がっています。
 

島根のブドウ栽培の持続のために、デラウエアは失えない品種。
現実は難しいですが、なんとかできないかな、と悩んでいます。

 



10年後は、ドローンやAIを使った「スマート農業」が当たり前のものになっているのかな。
 

便利なもので効率化していくのは良いことですが、その場所の土、水、空気、気候、そして昔から受け継がれてきた人のチカラも大切にするべきだと思うんです。
 

AIで管理するのも便利ですが、島根の大地に田畑を拓いて育てたのも、作物の微妙な変化を見極めるのも人のチカラ。
 

島根県の風土・人の良さと新しい技術が融合した、魅力的な農業ができるようになればいいですね!

 

 

 

 

 

 

 【星野さんさんイチ推し!今日からできる楽しいプチエコ】

食べきれないぶどうは、傷む前に冷凍しましょう。
シャーベット状になって新しいおいしさを楽しめます。飲み物に入れるものオススメ!
 

農産物を買うときは産地をチェックして、地元や近い地域のものを選んでくれると嬉しいです。
地域のものを選ぶことで農業を支えられ、農村がある里山の美しい風景を守れます。
 

最近、猪や熊が町に出てくるニュースをよく聞きますよね。
あれは中山間地域で農村が廃れ、人間と動物が暮らす場所の境界がなくなっていることが一つの原因なのかなと思います。

毎日の買い物を通じて、少しずつ良い循環を作ってもらいたいです。

 

*星野さんとお話しした感想*


落ち着いた、穏やかな佇まいの星野さんですが、農業について語るときの目はキラキラ!
大好きなおじいちゃん・おばあちゃんから受け継いだぶどう農園への愛情、農業への情熱が伝わってきました。
星野さんのようなクリエイティブで熱い志を持つ人が次世代を担うなら、島根の農業の未来には光がある!と感じました。

 

   

 

地域への想いと愛情が
いっぱい詰まったブドウをつくる
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