『温故知新』大切な思い出とずっと一緒に Flat Style 松崎さん(2)

2020.03.26

 

-田舎や実家にある家具を活用したい人は多いと思います。どんなものがどのように生まれ変わるのか教えてください。


例えば和箪笥は、引き出しを1段抜いて枠を足し、ローボードにできます。昔ながらの鏡台はドレッサーに。


洗面台や壁掛けの鏡への転用も可能です。客間などによくある一枚板の座卓は、床に座るのが辛くなった高齢の方のために脚を付け足してテーブルにすることがあります。

紫檀(シタン)・黒檀(コクタン)・花梨(カリン)など上質な木を使ったものが多いので、素材として幅広く転用できます。

 

 

 

-そんなに時代を経たものではない、昭和中期以降の家具もリフォームできますか?


できますよ!高度経済成長期の家具は、合板が使ってあっても作りがしっかりしているものが多いんです。


その当時のデザインの魅力を生かしながら、現代的なテイストにリフォームすることもあります。

僕はお客さんと気軽にお酒を飲みに行けるくらい、本音で話せる仲になりたいと思っています。

 

大切な思い出の物を預かる身として、大切なことや本当の想いを取りこぼすことが無いようにしたいんです。
古材をストックしているのも、どんな物でもその風合いを活かせるようにするためです。また、予算との調整にも役立ちます。

 

 

ー皆さん、それぞれに大切にされている思いがあるんですね。

 


お客様の物を大切にする心を目の当たりにし、これは伝えていくべきことだと強く感じました。

同時に、物を使う時、それを誰が作ったのか、どんな思いでどのように作ったのか…そういったことに無関心であってほしくないという願いもあります。



少しでも考えることから「大切にしたい」という〝思い〟が出てくるんじゃないでしょうか。
〝思い〟を持っている人は、物の良し悪しに限らず、大量生産のものであっても丁寧に長く使っているように感じます。
僕たち作り手はその〝思い〟を汲んで、修繕やリフォームを提案しなければならないと考えます。

 

 

ー古民家や空き家のリノベーションもされていますね。島根は空き家が多いのでニーズが増えているでは?

 

 

数年前からリノベーションのオーダーが多くなってきました。今、取りかかってるのは古いビルの一室の改修です。
壁板や天井板を剥がすと、土壁や屋根裏の太い梁(はり)が現れますが、僕はあえてこれを露出したままの部屋に作り直そうとしています。

オーナーさんにも理解していただきましたが、最近はこうした提案を受け入れてくれる家主さんが増えてきました。

 

 

 

ーニーズが増える背景には何があるんでしょう?

 


新しいものを追うことだけが〝価値〟ではないと、多くの人が気づきはじめたんだと思います。

昔の人たちは寒さ暑さに工夫で適応していましたよね。
不便さから生まれる人の知恵が感じられる環境に身をおいていたいという、ささやかな欲求もあるのかもしれません。

東北大震災を境にみなさんの意識が変わってきたようにも思いますね。

 

 

でも、直して使われる以上に、壊されていく古民家が多いのが現状。
島根はいいところなのに、古いものがどんどん壊されて新しいものに入れ替わっていくばかりなのは何か違うと思うんです。

 

 

ー島根のどんなところがいいと思いますか?


自然がきれいですよね。この場所も天神川がそばにあって、眺めていると心が和みます。

水が見える場所って落ち着きますよね。冬には水鳥がやってきますし、夕暮れどきの風景もキレイ。ゆっくり歩いて宍道湖まで行くこともあります。

 

 

 

ーそんな中で、松崎さんはどのように未来を描いていますか?


家具やリフォームによる空間づくり、住まいづくりから、最終的には町づくりがしたいです。


松江も空き家がたくさんあってもったいない!リノベーションしてUIターンの人に貸すとか、アーティストに使ってもらうとか、いろいろな可能性があるはず。


アパートを1軒買ってリフォームして、各部屋にクリエイターに住んでもらうのが目標の一つです。

 

 

 


ーそう考えると、島根は資源が豊富な地域と言えるのでは?


まさにそう!例えば邑南町はそこに着目して、古民家や家具などの活用を推進しています。

人口が減ってしまって空き家が増えているんですが、見方を変えれば〝宝の山〟〝資源の宝庫〟なんですよ!僕も講師として、古い家の中のものをどのように選び、提案するのかを教えています。

 

若い人たちが県外から志を持ってやってきたり、地域にあるものを活用する動きが出てくるのは面白い!町の人たちがリフォームした家具や古材は、邑南町の倉庫に保管しています。それを松江に運んで販売する流れができているんですよ。

 

 

ー今後やってみたいことは他にありますか?

 

僕は今、誰でも使える町かどのDIY工房を作ろうと企んでいます(笑)。
気軽にやってきて自分で木材を選んで、ノコギリを使って切って、机などなんでも好きなものを作れる。そんな場所にしたい。


同じような板でも、張り物なのか本物の木なのか、自分で見て・触れてみるとわかりますしね。なんでも体感することが大事だと思います。


以前ワークショップでかまど作りをやったことがあります。
例えば災害などで電気が止まったとき、ご飯を炊こうとしても火が起こせない、火のつけかたがわからないという人は多いですよね。

どこかで体験ができる場所があるといいと思います。
身をもって学ぶということは、「生きる力」を育むというという意味で大事なことです。

 

 

 

 

 

【松崎さんイチ推し!今日からできる楽しいプチエコ】

ぜひ、いま生活の中で使っている物の中で「宝物」を見つけてください。
そこから物を大切にする心が芽生えるはず。
田舎のおばあちゃんの家に行った時、この家具をいつ、どうやって買ったのか、思い出話はあるのか…と聞いてみるのも良いですね。それぞれにこもった思いや残った歴史があるはずです。

 

 

       

 

 

*松崎さんとお話した感想*

お客さんと家具にまつわるエピソードを、愛おしそうに話していた松崎さん。
思い出の詰まった家具はもはやモノではなく、〝家族〟なのでしょう。大切な〝家族〟とずっと一緒にいたいという願いに真っ直ぐに向き合っている松崎さんの姿勢に、取材陣も胸が熱くなりました。

 

 


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冊子「しまエコVol.17」でもご紹介★

 

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