みんなで乾杯!クラフトビールで地域の魅力を掘り起こす 石見麦酒 山口さん(2)

2021.03.01


―石見麦酒さんの製造方法は少し変わっていると聞いたのですが。



ビールを造るには、まず麦芽をマッシングします。

マッシングとは、粉砕した麦芽にお湯を加えておかゆ状にすることです。
 

それを70℃くらいで管理すると発芽が途中で止まり、麦の澱粉を糖に分解する酵素がしっかり働いて甘い麦汁が出来ます。
 

次の煮沸工程で、麦汁にホップや副原料を入れます。
麦汁と副原料の化学反応で、苦味を出したり泡持ちを良くしたり、防腐効果を高めたりするように調整します。
 

それを発酵器に移し2週間程度主発酵を促し、それから2〜4週間程度熟成させて蔵出しになります。


 


 

通常、発酵はタンクで行いますが、石見麦酒ではポリ袋に麦汁を入れて冷蔵庫で寝かせながら発酵します。
これはウチが日本で初めて取り入れたやり方で、皆さんから「石見式醸造法」と言われています。
 

発酵タンクも洗浄機器も高価なものですが、ポリ袋を使用すると初期投資を抑えられます。
工程から洗浄作業がなくなり作業負担が軽減されますし、大量の水や薬剤も必要ありませんので排水に関しては環境に対する負荷も軽減できます。

 

 

 ―絞りかすの有効活用や無駄の削減など、様々な工夫をされておられますね。

他に何か特徴的なことがありますか?




空瓶は資源ごみとしての取り扱いになりますが、周辺のレストランなどの手が届く範囲や、製造を委託いただいている飲食店が材料を持って来られる時は回収しています。
 

ちょうど今瓶を持ってこられたのは益田市の「SakeLabo暢ペ(サケラボノンペ)」さん。
お店オリジナルの「過疎ビール」を造らせていただいています。


(お話を聞いている時、暢ペの野崎夫妻が、仕込み水のタンクの回収のついでに空き瓶も持って来られました。)


 

「過疎ビール」は、益田の養蜂家「空水土(クーミード)」さんのはちみつと「桑原酒造」さんが日本酒の仕込み水に使用する高津川の伏流水で造ったフルーティなビールです。
 

毎回少しずつレシピを変え、いまお店で出しているのがNo.7の「過疎ビール」。
無くなり次第No.8に切り替わる予定で、「いまだけここだけ」のビールなんです。

 

 

 

他にも、時期限定の商品や飲食店の要望でオリジナルのビールを開発しています。
 

例えば、このウィンターエールは、江津市の「リセラファーム」さんのはちみつを使用した濃厚で飲みごたえのある冬季限定のビール。
アルコール度数も9%と高めでホットビールにしても美味しいです。

 

 

―これから挑戦したいことは何かありますか?




ビール製造に始まり、果実酒の製造免許を取得しましたし、リキュールの免許もこの12月に取得する予定です。
 

1月からは、製造できる酒類の幅が広がりますので、これまで以上に色々な場所とモノの魅力を創れるんじゃないかと思います。
(※現在はリキュールの製造・販売も行っています!)
 

実は、ビールやリキュール造りが温泉街の活性化にも繋がるんじゃないかと考えています。
 

江津や石見、島根県や全国各地の観光地に小さなブルワリーができて、その土地の産物で美味しいお酒を造って、皆さんに楽しみながら消費してもらえる…そうして、みんなの地域が盛り上がると嬉しいですよね。

 

 

 

 

 

【山口さんイチ推し!今日からできる楽しいプチエコ】

先日、大田市のまちづくりの会の方が総会で飲むビールに地元の材料を使いたいと甘夏を持って来られました。
こういうことが見過ごされていた地元の魅力の再発見に繋がると思います。
 

一般の方なら庭先になった果物、農家さんは規格外や産直市に出せないもなど、これまで「無駄・フードロスになっていたもの」で美味しいビールを作って、みんなで楽しんでもらえたら嬉しいです。ご相談お待ちしています!!

 

 

【インタビュアー感想】

山口さん率いる石見麦酒さんは、地域で無駄になっていたものや見逃されていたものをお酒にすることで価値の見える化を行い、楽しみを創造する地元ど密着のスーパーマイクロブルワリーでした。
 

お酒造りを通して、人と人、人と地域を結び、そこに新たなアイデアや広がりが生まれて行き、魅力が増え地域が豊かになって行く。
 

そしてそんな地域に魅力を感じた人たちが集まって来て、また新たな魅力が生まれる。
そう思うと、この地域の将来が楽しみになって来ます。

 

(※取材時期は、12月上旬。撮影時にのみマスクを外していただきました。)

 

 

   

 

 

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美味しいクラフトビール!

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