まずは1歩踏み出して挑戦!ワクワク楽しい地域Lifeを! 津和野町 上潟口さん(2)

2021.03.30

―もう地域のスペシャリストですね!
機織り(はたおり)もされているとお聞きしました。

 

平成23年に、枕瀬公民館(現在の滝元枕瀬公民館)が常勤化され、地域の方がいつでも公民館を利用できるようになったのですが、そこに機織り機が10台ほど眠っていました。
 

昔、この辺りは養蚕業が盛んだったみたいで、合併前の日原町には本格的な機織りや染めの体験が出来る「シルク染め織り館(現 高津川清流館)」がありました。
機織りの先生を招き、全国から若い女性が集まって熱心に教わっていたんです。

 


その生徒さんたちが地域の方にも教えてくれていましたが、やがて教えてくれる人がいなくなり、しばらくは使われていませんでしたが、また自分たちもやりたい!という方が出て来たんで「はた織り同好会」を立ち上げました。
 

活動も、もう10年になります。ただ私は、事務局をずっとやってるので機織りはちっとも上達しません。(笑)

 

 


特に決まったスケジュールはないんですが、集まれる時に集まって活動をして、草木染めのストールをグラントワやシルクウェイにちはらで販売して活動費を賄っています。
 

ヨモギやキハダ、サクラやクヌギ、ワサビの葉や栗のイガでも染めることができます。
いまの時期だとサザンカの鮮やかな花びらからピンクの色を分けてもらいます。
身近な植物からいただいた色で季節を感じることができますね。

 


―地域のイベント1つ参加するにも少し勇気がいる方もいると思います。
フットワークの軽さを見習いたいです。


初めから考え過ぎずに、まずは何でもやってみれば良いんじゃないかな?

インドネシアに居た時に「DJ Kay」という名前でラジオ番組に出ていた時がありました。
 

それは、日本語を勉強している現地の方を対象にした番組だったんですが、声かけられた時には何をするかは何も決まってなかったのにOKして、その後どうしようかと考えました。(笑)
 

結果、私が日本語でクイズを出してリスナーさんが電話をかけてきて答えるみたいなコーナーを企画し、リハーサルもなしの生放送だったので毎回、何が起きるかわからないハラハラドキドキ!

 


今日の取材も、実はあまりよく理解してなかったけど…とりあえず受けてみようかなって。(笑)
 

何か楽しそうだなって思ったら、難しく考え過ぎずにとりあえずやってみたらいいと思います。
大体のことは何とかなりますよ。地域のイベントや何かの取り組みに足を運ぶことで、新しい発見や出会いがあったりしますし、またそこから次の何かに繋がっていくと思いますよ。

 

 

―ライフワークがあると楽しいですよね。こちらでの暮らしはどのようなものですか?

元々、ゴミを出さないことや不必要なエネルギーを使用しないことなど、何かする時、何か選ぶ時に「これって環境の負荷になってないかな?」と考えますし、そういう選択をしないように心がけています。

 

生ゴミはコンポストで堆肥にしていますし、買い物するときも野菜は裸で売っているもの、お肉や魚もトレーを使用していないものなど出来るだけ包装が少ないものを選んで買っています。 


この辺りでも探すと環境負荷を配慮した商品を取り扱っているお店はありますし、企業として環境に配慮する取り組みを推進しているところもありますので、そういう姿勢のところを応援する意味で株も買っています。
 

買い物や用事も出来るだけまとめて回数を減らして車を無駄に使わないようにしています。
 

家は、暖房に薪ストーブを使っていてお風呂も昔ながらに薪を焚べて沸かしてます。
時間がかかると思われますが、夏だと15〜20分くらい、冬でも40分くらいで沸きますので不便はないですね。2〜3時間は熾火の状態が続いて釜全体が温かいのですぐに冷めませんし。
 

今の時代、省エネではもう足りないので、これからは脱炭素の視点を持つようにシフトして、それぞれ出来ることで生活の仕方を見直してみてもいいと思います。

 

―いま、津和野町ではどのような動きがあるんですか?

 

津和野は、全国でも5本の指に入るくらい地域おこし協力隊の受け入れが活発です。
協力隊のほかにもIターンの方たちを積極的に受け入れています。
 

津和野町は教育に力を入れていますので、毎年のように教育魅力化コーディネーター(※1)を採用しています。
 

また持続可能な林業として自分たちで伐採から搬出まで全て行う「自伐型林業」(じばつがたりんぎょう)を実践する「津和野ヤモリーズ」というチームもあります。
地域おこし協力隊や教育魅力化コーディネーターがきっかけで津和野に来られ、任期後も定住している方がたくさんおられますよ。
 

(※1:教育魅力化コーディネーターは、高校や小中学校の現場に入り、まち全体が学びの場となるように、校種を超えた学びや学校と地域が連携した学びを推進する役割を担う。)
 

津和野高校は県外の子どもが通う「しまね留学」を積極的に推進して、今は三分の一近くの生徒が県外出身者だと思います。
 

「トーク・フォークダンス」という地域交流の機会がありまして、生徒と地域の方が同じ人数で集まり、フォークダンスのように相手を変えながら対話するというもの。
生徒はいろんな価値観を持った大人と触れ合うことで視野が広がりますし、顔を少し知ってるだけでもこの小さな町で暮らしていく上でお互いにとって安心の材料になると思います。



―多種多様な人が集まり、何か新しいことが生まれやすい環境が作られているようですね。

未来の津和野町がどんな風になっていくといいと思いますか?


 

もうこれ以上人口が減らないと良いなぁ…ちょうど先日、人口情報の速報が県から出て、自然増減の推移がここ数年は県内の市町村で津和野町がワーストワンだったんです。
 

地域おこし協力隊も県外生徒の受け入れも、手が足りないとか高校を残したいとか、出発点は自分たちの都合かもしれません。
でもそこに繋がりが生まれて、この地域を魅力的に感じてくれる人が増えて、ここに住みたいという人が増えるといいと思います。

そういった意味では、種まきとしていまやれることはやってると思います。
 

近い将来、町内にバイオマス発電所ができる計画があるんです。
自伐型林業と併せて、津和野町でエネルギーを地産地消する計画で、とても注目されています。

 



私の理想は、若い方が元気で活躍できる地域になっていく事。
 

例えば、地域おこし協力隊の方が林業家として津和野の山で食べていけるようになって、山の仕事は体力もいるので若い方にも入ってもらえれば津和野町に根を張って暮らしていくということもあるでしょうし、山も整備され高津川の環境も改善されると嬉しいですしね。

 

 

 

 

 

【上潟口さんイチ推し!今日からできる楽しいプチエコ】

私たちの生活の中でCO₂の排出の割合に車が関わっている部分は小さくなくて、特に車がないと生活できない地域ではエコカーの導入やエコドライブの実践がCO₂削減のカギになります。
 
こまめに電気を消したり暖房の設定は何度までのようなちょこちょこ省エネは割と意識されてると思いますが、買い物や用事をまとめてすることで車を使用する回数を減らしたり、たまには歩いてみるとか、それを時間の使い方を見直して暮らし方を豊かにするという意識で楽しく取り組めるといいと思います。

 

【インタビュアー感想】

海外生活が長く客観的に地域を見渡すことができる視点をお持ちで、帰って来てからは地域で幅広く活動されていることや子どもの頃の実体験から来るものなどから、人か環境かという二項対立の視点ではなく、この地域で人も環境も持続していくための付き合い方を意識されているように感じました。

自然や命というものに畏敬の念をお持ちで、草木染めのことについて話をされている時に、「色を分けてもらう」と表現されていたことがとても印象的でした。

 

 

    

 

 

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「津和野ヤモリーズ」紹介コラム

 

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