三瓶山の地形と地層

三瓶山の地形と地層

資試料データベース(isoイメージファイル)

2010三瓶火山/松井資試料データベース(415MB)
2014三瓶火山/松井・福岡資試料データベース(510MB)

三瓶火山の活動史概要

三瓶小豆原埋没林は、三瓶山の北麓、大田市三瓶町多根小豆原(あずきはら)地区にあります。 火山噴火によって埋もれた4000年前の森で、当時のままの姿で地中に林立しています。
太古の森の姿をそのまま残す埋没林として世界的にも貴重で、国の天然記念物に指定されています。

当館では、発掘した巨大な幹と根株、小枝が残る幹の3本を展示しています。また、現地は三瓶小豆原埋没林公園として地下の展示施設があります。

三瓶円頂丘溶岩群

三瓶山の地形は溶岩円頂丘群とそれを取り巻くカルデラに特徴づけられます。
溶岩円頂丘は粘りけが強い溶岩によって形成される地形で、お椀を伏せたようなこんもりした形状が特徴です。
男三瓶、女三瓶、子三瓶、孫三瓶は、山腹斜面がやや急で山頂がなだらかな地形で、溶岩円頂丘の特徴を良く表しています。

室ノ内火口

いくつかの峰に取り囲まれくぼ地は「室ノ内」と呼ばれ、最後の時期の噴火を起こした火口と考えられています。
尾根に囲まれた範囲の直径は約1kmです。
室ノ内の南側に位置する「太平山」は、この火口から放出された火砕物(火山礫・火山灰)が堆積してできた地形(火山砕屑丘)です。

室ノ内池

室ノ内の底部は緩斜面になっていて、その一番低い部分に室ノ内池があります。
水深は約2mと浅いものの、渇水期にも水位が大幅に低下することはなく、地下水によって涵養されていると思われます。

鳥地獄

室ノ内池の北側に、植生が貧弱で転石が露出している場所があります。
ここは鳥地獄と呼ばれ、岩石の隙間からわずかに二酸化炭素の噴気があります。写真のようなくぼみには二酸化炭素が滞っており、酸欠で死んだ昆虫やは虫類などの遺骸が見つかることがあります。

西の原

三瓶山の代表的な景観が西の原の草原です。
西の原は、男三瓶と子三瓶の間の谷(扇沢)から、大雨の時などに流れ出た土砂が堆積してできた地形です。
谷の出口を頂点に扇形の緩やかな斜面となっていて、三瓶山の代表的な景観となっています。

浮布池

浮布池は、西の原からやや下った位置にあります。
この池は、上方から流れた土砂に谷がせき止められた天然のダム湖です。
7世紀後半に地震によって山腹が崩壊して池が形成されたという伝承があります。

三瓶温泉

三瓶温泉は、孫三瓶と日影山の間の谷に泉源があり、豊富な湧出量を誇る自噴泉です。
湯温は35~38℃で、カルシウム、鉄分、二酸化炭素に富むことが特徴です。
画像は、泉源部分の横穴で、ここで湯を集めて宿や共同湯へ配湯しています。

デイサイト溶岩デイサイト溶岩

三瓶山の峰はデイサイト溶岩で構成されています。
デイサイトは火山岩の一種で、流紋岩と安山岩の中間的な組成です。二酸化ケイ素を多く含み、粘りけが強い溶岩です。
三瓶山では、灰色~青灰色と赤灰色のものがあります。赤灰色のものは熱水等の影響で高温酸化したもので、本質的には同じものです。

火山弾

火山弾は、火口から放出された溶岩の断片です。
上の写真は、放出された火山弾(矢印)が降り積もった火山灰の上に落下した様子が良くわかります。
火山弾が落下した衝撃で地層が曲がっています。
*写真の地点の地層は現在は残っていません。