自然情報

しし座の星たち 2025.04.20

今ごろの夜8時から9時ごろ、南の空にしし座が見えています。横向きにお座りしている姿で星座になっています。しし座の中で一番明るい星は一等星の「レグルス」です。首の辺りにあるアルギエバは二重星で、望遠鏡で拡大するとオレンジ色と黄色い星が並んでいるのばわかります。また、後ろ足の付け根のあたりには「しし座の銀河トリオ」と呼ばれるM65,M66、NGC3628の三つの系外銀河があります。銀河が並んでいる姿は双眼鏡での観察がおすすめです。

しし座の星。2011年4月3日。三瓶自然館で撮影。

(学芸課天文事業室 矢田猛士)


シカとイノシシの毛 2025.04.13

山野の水がしみ出た場所には野生動物のお風呂である「ヌタ場」が存在します。夜になるとヌタ場には多くの哺乳類が訪れます。泥浴びをするものもいれば、上澄みの水を飲みに来るものもいます。ヌタ場の周囲にある木には動物たちが体を擦りつけることがあり、ささくれだった樹皮には泥に交じって体毛が不着していることがあります。長い体毛をみつけたら、シカかイノシシのものである可能性が高いです。両者の体毛を見分けるには、半分に折ってみて、元の形に復元せずに折れていたらシカの可能性が高いです。イノシシの毛はコシがあり、元の形に戻ります。家畜化されたイノシシであるブタの毛が歯ブラシに使われるのも納得できます。

夜な夜なヌタ場を使う動物たち(複数枚の写真を合成)

(学芸課 安藤誠也)


小諸喰のゴジラ岩 2025.04.06

法田地区・小諸喰の海岸にある遊歩道にある“ゴジラ岩”。その正体は流紋岩の貫入岩です。ゴジラっぽさの理由は大きく2つ。まず、ゴジラ岩をつくっている流紋岩は、周りの堆積岩類より硬く、風化侵食に強かったため、孤立した岩場になっていること。そして流紋岩には節理(割れ目)が発達しており、全体的にゴツゴツとした形になっていること。
美保の北浦に上陸した、小柄で色白なゴジラに会いに行ってみるのはいかがでしょうか。

【ゴジラ岩の3Dモデルをぐりぐり動かせます】
https://skfb.ly/pvGOu

(学芸課 今井 悟)


コマルハナバチ 2025.03.30

春先に姿を見せる大型のハナバチの仲間、コマルハナバチです。マルハナバチの仲間は、毛に覆われたずんぐりとした体が特徴で、肌寒い日でも活発に活動しています。また、キブシのように下向きに咲く花でもしっかり掴まり、蜜を吸うことができます。
早春から活動を始め、夏には姿を消す春のハチです。

キブシに訪花するコマルハナバチ

(学芸課 皆木宏明)


金星が内合 2025.03.23

3月23日に金星が内合となります。これは地球から見る金星と太陽の方向が同じになることで、目で見ることはできません。安全に向けられる自動導入の大型望遠鏡であれば、ごく細い金星の姿がわかります。金星はこの先、しばらくのちに明けの明星として夜明け前の東の空に現れます。

(学芸課天文事業室 太田哲朗)


土星の環の消失 2025.03.09

地球から見ると、土星の環の傾きは年々変化します。3月24日には土星を真横から見る形となり、環はたいへん薄いので消えたようになります。ただしこの日は、土星が太陽の方向に位置するため、その現象を見ることができません。5月7日になれば、太陽の光が環の真横から差すため、再び輪が消えます。

2024年12月2日、サヒメルの天文台で見たもう少しで環が消えそうな土星

(学芸課天文事業室 竹内幹蔵)


アマツバメ 2025.03.16

暖かくなってきた今の季節。あちこちでツバメの姿を見かけるようになりました。ツバメのような姿ですが、ブーメランのように湾曲した翼で滑空するのはアマツバメ。川や水田などの上空で、羽虫などのエサを飛びながらキャッチする姿をみつけることができる季節です。

(学芸課 星野由美子)


ヤマハンノキ 2025.03.02

3月上旬、三瓶山の春はまだまだ先ですが、一足早く花を咲かせる樹木があります。穂のように伸びているのは、ヤマハンノキの雄花序です。少し前までは短い状態でしたが、日に日に長くなり、小さな花を開かせました。ちなみに赤紫色の小さな楕円形の部分は、雌花序になります。

(学芸課 井上雅仁)


ハロ 2025.02.23

ハロは、太陽の光と大気中の氷の結晶による光学現象で、太陽の方向に現れます。太陽の周りに、丸い光の環が出ているのを見たことがある方も多いと思います。これもハロの一種です。一方、ハロと似た大気中の光学現象に虹があります。虹は大気中の水滴が作り出す現象で、太陽と反対の空に出現します。

2021年1月25日に大田市で観察されたハロは、太陽の周りに二重に環(内暈と外暈)が広がっていました。さらに、太陽の両側には幻日と呼ばれるスポット的に明るい場所と太陽と幻日を貫く幻日環、加えて太陽の上側には逆さ虹と呼ばれる光の弧(アーク)が見られました。このような複数のハロが同時にはっきりと出現するのは、このあたりでは、数年に1度の現象です。

(学芸課天文事業室 矢田猛士)


窓から眺める雪景色と足跡 2025.02.16

今冬の三瓶は雪が積もることが多く、一面銀世界となっています。新雪が降って2日ほど経ってサヒメルの窓から外を眺めると、動物たちの足跡が沢山残っていることに気が付きます。テンやタヌキ、ノウサギなどの足跡がよく見られます。本館から新館へと続く屋根付きの野外通路に出ると、新鮮な足跡には肉球や爪の形がはっきりとわかる場合があります。積雪期ならではの自然観察を三瓶でしてみませんか。

三瓶自然館の廊下より撮影した雪と哺乳類の足跡

(学芸課 安藤誠也)